ソニーは7月29日、2009年3月期第1四半期(2008年4〜6月)の連結業績を発表した。営業利益は734億円で、前年同期比39.5%の減少となったが、売上高は1兆9790億円で、前年同期1兆9765億円から0.1%増とした。
エレクトロニクス分野は、液晶テレビ「BRAVIA」の売り上げ増などにより前年同期比0.7%の増収、ゲーム分野においては「PLAYSTATION 3」(PS3)、「プレイステーション・ポータブル」(PSP)の売り上げ増により前年同期比16.8%の増収となった。
中でも2009年3月期までに黒字化を目指すBRAVIAは「販売台数が増加し、営業損益が大幅に改善した。売上高は前年同期比32.5%増となった」(業務執行役員SVP 原直史氏)とし、さらに「BRAVIAは2007年の今頃に比べると商品に競争力が出てきた」(執行役EVP兼CFO 大根田伸行氏)と話すなど、市場での競争力が強化されつつあることを裏付けた。
この好調さを受けてか「第2、第3四半期はもっとも数の出る時期。ここで売り上げ、利益ともに上げ、黒字化できるよう期待している」(大根田氏)と黒字化に対する期待もうかがわせた。
エレクトロニクス分野同様に伸びを記録したゲーム分野では、前年同期比でPSPが75%、PS3が123%の売り上げ台数増となった。第1四半期だけで372万台を売り上げたPSPは「カラーバリエーションやネットサービスが幅広いユーザーから支持を集めている。プラットフォームが普及したことで、今後はノンゲームにもサービスを拡大していきたい」(原氏)と新たな展開にも意欲を見せる。
一方、ビデオカメラ、コンパクトデジタルカメラ、パソコンは減益額の大きい製品カテゴリとなった。「欧米など先進国市場の需要が鈍化したこと、他社との競争力が激化したこと」などが減益の理由として挙げられており、パソコンに関しては「一部部品の供給が遅れた」(原氏)ことも響いたという。
これらの製品カテゴリでは原価率の悪化や値崩れの傾向が激しく「パソコンは市場が普及価格帯のモデルへと流れている。デジタルカメラは数量的には伸びているが、エントリーモデルの価格競争が厳しい」(大根田氏)と話す。
また、売上高が9%減少という厳しい結果となったソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズに関しては「為替の影響や強みを発揮していた欧州市場での中〜上位機種の市場成長が鈍化し、市場競争が激化した」(原氏)と分析しており、「新製品の投入で良くなるよう期待しているが、慎重に見ざるを得ない市場」(大根田氏)と位置づけている。
原材料費の高騰や輸送コストのアップなど、厳しい市場環境が続いていることに対しては、「原材料や輸送コストアップなど、影響を受けてはいるが、現時点ではバジェットの中に織り込み済み。今の段階だと見込み範囲内と受け取っていい。ただし、今以上にコストが上がっていくと厳しい状況になると考えている」(大根田氏)と話した。
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