ソニーは2月1日、2008年3月期第3四半期(10〜12月)決算を発表した。売上高は前年同期比9.6%増の2兆8590億円、営業利益は同5.8%増の1894億円、当期純利益は2002億円となった。売上高、税引前利益、持分法による投資利益(投資利益)、および当期純利益は四半期としては過去最高となる。
また、2008年3月期の業績予想は、円高の影響や株式市場の下落を考慮しこれを修正した。売上高は2007年10月時点での見通しと同じ8兆9800億円で、営業利益は同400億円減の4100億円、税引前利益が同100億円減の4900億円、投資利益が同100億円増の1000億円、純利益においては同100億円増の3400億円とした。
営業利益の下方修正は、第4四半期の前提為替レートを円高方向へ修正(10月時点の1ドル115円前後、1ユーロ160円前後から、1ドル105円前後、1ユーロ155円前後へ修正)したことや、株安などの外部環境の急変が影響しているとした。こうした外部環境の変化により10月時点の見込みよりも600億円の利益悪化となるものの、エレクトロニクス部門などの本業が好調で200億円をプラス、差し引き400億円の減額となった。
エレクトロニクス分野の売上高は前年同期比10.2%増となる2兆694億円。増収に寄与した製品は、全地域で販売数が増加した液晶テレビ「BRAVIA」とPC「バイオ」、海外でも好調だったデジタルカメラ「サイバーショット」など。液晶リアプロジェクションテレビは引き続き市場縮小の影響で減収。営業利益は前年同期の1790億円から7%減少し1665億円となった。売上の増加やユーロに対する円安によるプラス材料はあったものの、コスト改善を上回る価格下落が減益の要因になったとした。製品別では、バイオが増益となったものの、ゲーム向け半導体の売上が減少したLSI、単価下落の影響があったBRAVIAなどは減益となった。
持分法適用会社となるソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズについては、端末の販売台数が前年同期比18%増の3080万台となったものの、端末の平均価格の減少により売上高は前年同期比とほぼ同じ37億7100万ユーロ。税引き前利益も同じく横ばいで5億100万ユーロ。ただし、当期純利益は前年同期比の実効税率が低かったため、17%減の373億円となった。
ゲーム事業については、売上高が前年同期比31.2%増の5812億円となった。ハードウェアでは、PLAYSTATION 3(PS3)に加え、軽量化した新型PSP(プレイステーション・ポータブル)が貢献し増収。PS2については減収となったものの、東欧や中東、アジア地域での販売数は伸びているという。ソフトウェアでは、PS2およびPSPソフトの売り上げが減った一方、PS3ソフトの売上が伸び、全体で増収となった。ゲーム事業の営業損益は、前年同期比の542億円の損失に対し、PS3ハードウエアのコスト改善により129億円の利益を計上した。なお、ハードウェアの年間出荷台数は、PS3を1100万台から950万台に下方修正する一方、PSPは1000万台から1300万台、PS2は1200万台から1300万台へとそれぞれ上方修正している。
映画分野は、売上高が前年同期比24.6%減の2238億円で、営業利益は前年同期49.7%減の132億円のとなった。要因として、映画作品本数の減少や大ヒット作に恵まれなかったこと、テレビ向け映画作品の売上減少などが挙げられるとした。DVDは「スパイダーマン3」などが好調な売上を記録し、前期同様の水準となった。
金融ビジネス分野では、ソニー生命の減収により売上高が前年同期比21.4%減の1359億円。営業利益も同様にソニー生命の損益悪化の影響で42億円の損失を計上した。
同社EVP兼CFO(最高財務責任者)の大根田伸行氏は、今年度の目標としていた営業利益率5%の未達成について「4100億円は、4.6%となるが、外部環境の影響が無ければ、5.2%に相当する数値」と事業の堅調さをアピール。テレビ事業については「BRAVIAは、上期の大幅な赤字の影響で通期での黒字は難しい。価格下落のインパクトは大きかったが、第3四半期のように月間120万〜130万台のレベルを維持すれば利益を出せる」と述べた。
なお、市場減少が続くリアプロジェクションテレビ事業は3月で終了し、今後は液晶を中心としながら、有機ELの研究および開発に注力するとしている。また、Blu-ray製品については「ハードは赤字で、パッケージソフトは利益を出している状況で、黒字化の見通しは現状では明言できない」とした。PS3については、「今期中にハードの逆ざや(製造コストを下回る価格設定)を解消するのは無理。来期後半に解消するという目標ですすめている」とした。
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