日本証券業協会は12月27日午後、同協会が保有するジャスダック証券取引所株式を大阪証券取引所に売却する方向で協議を進めると発表した。同日開催した特別委員会で決定した。
日本証券業協会はジャスダックの発行済み株式数の72.6%を保有。同協会会長の安東俊夫氏は日本証券業協会がジャスダックの約7割の株式を保有する現状を利益相反などの問題から好ましくないとし、10月から特別委員会で協議を行っていた。
ジャスダック株式については、日証協が東京証券取引所にも取得を打診していたが、12月17日、東証はこの提案を見送る方針を示した。特別委員会が開催される前の時点で、ジャスダックの単独再建、大証への株式譲渡――に絞られていた。
安東氏は特別委員会後、「今後、条件面等を詰めていくことになるが、新興市場全体の発展を目指し、魅力ある市場を創ることが特別委員会の真意であり、(個人的に)全力を尽くしてさまざまな問題を乗り越えていく覚悟である」とのコメントを発表した。
大証では安東氏のコメントを受け、「効率的で信頼される市場創りの観点から対応していきたい」とのコメントをリリースした。
一方、ジャスダック証券取引所社長の筒井高志氏は同日午後に安東氏との会談を行い、経緯の説明を受けた。プレスリリースで「安東会長の『新興市場全体の発展を目指し魅力ある市場を創ることが真意』との意向を受け、最大限の努力をしていきたい」とコメントしている。
日証協と大証は年明けにも譲渡交渉を開始する見通し。大証は株式取得後、大証が運営する新興市場「ヘラクレス」とジャスダックを統合し、採算性を改善させていく方針とみられる。ただ、これまで自主経営路線を強調してきたジャスダック側の反発により交渉の難航も想定される。
名古屋証券取引所のセントレックスや札幌証券取引所のアンビシャスなど、乱立する地方新興市場に関しても、株式市場では「再編が必要」と見る向きが多い。中期的には、今回参画しなかった東証を含めて「新興市場再編の第2ラウンド」への発展にも関心は高まっていきそうだ。
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