イスラエルにおいて「Blogger.com」のあるユーザーを名誉毀損罪で告訴した人物に、Googleがブロガーの情報を「自主的に」引き渡したと報道されている。Googleはこれに反論している。
イスラエルのニュースサイトに現地時間11月27日に掲載された記事は、Googleが名誉棄損で訴えられたブロガーの「IPアドレスを提供することに同意し、このような事例でGoogleが法的手段で対抗しなかった最初の」ケースになったと報じている。この報道はすぐに各紙に引用され、Googleが「自主的に」ユーザー情報を漏えいした、あるいは「Googleが匿名のブロガーのIPアドレスを提供」という見出しとなって紙面をにぎわせた。
Googleの広報担当Steve Langdon氏は米国時間11月27日遅くに以下の内容の電子メールを筆者に送ってきた。
Googleの個人情報に対する立場は明確である。当社は適切な法的手続きに従った場合に限って、ユーザーに関する情報を第三者(警察当局など)に提供している。この方針によって当社はユーザーのプライバシーを保護するとともに、誰かがGoogleの製品を使用して違法行為を働いた場合にも責任のある行動が取れるようなる。
Bloggerに関しては、ユーザーがサービスに登録するときに同意しなければならない明確な条件がある。この条件は以下の内容をはっきりと示している。暴力的、不愉快または著作権を侵害している等のコンテンツは当社の規則に反する。当社のサービス提供の条件に違反した場合は、ユーザーのアカウントが停止されるだけでなく、「州または連邦政府による罰則やその他の法的な結果」に至る場合がある。そしてGoogleは「該当するあらゆる法律、規則、法的手続きまたは政府による要求の順守」に対する違反があった場合に調査を実施することがある。
今回の件に関しては、当社がそのブロガーのIPアドレスを提供したのは、イスラエルの裁判所の命令によって当社がそうするように要求された後のことである。Googleはそのユーザーのブログをブロックしたり閉鎖したりはしていない。GoogleがIPアドレスを提出した相手は裁判所である(告訴人にそれを引き渡したのは裁判所である)。
では真相はどうなのか。裁判所のオリジナルの文書を見ない限り確かなことを知るのは難しい。しかし、事情は単にGoogleが「自主的に」IPアドレスを提供したというより複雑のように思われる。Langdon氏の回答の太字にした部分からわかるように、Googleは法律によってそうするように「要求された」と同氏は主張している。もしそうなら、これはそれほど興味深い話ではなく、平凡な事例に過ぎなくなる。
最後に一言だけ付け加えると、Blogger.comはサーバをカリフォルニア州に置いているようだが、同州では名誉棄損は民事罪であり刑事罪ではない(刑法上の名誉毀損罪は1964年のGarrison対Louisiana事件における最高裁の判決以来、ほとんどの州で廃止されている)。名誉棄損はイスラエルでは刑事罪であり、この裁判官は刑事罪の含みを指摘したと報じられている。したがって、この状況では表現の自由に関する複数の刑法が対立しているように思える。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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