11月19日、スクウェア・エニックスの2008年3月期中間決算説明会が開かれた。連結売上高は前年同期比4.9%減の722億7100万円、営業利益は同6.4%増の97億5200万円と堅調に維持した。「ファイナルファンタジーXI」を抱えるオンライン事業の売上高が同29.5%減の54億1300万円、営業利益が同13.5%減の28億6400万円と低迷したが、子会社のタイトーによる業務用ゲーム機「ドラゴンクエスト モンスターバトルロード」の売り上げが好調で、特にAM事業と呼ばれる業務用ゲーム事業がV字回復を見せた。
スクウェア・エニックスは株式公開買い付け(TOB)によりタイトーを2005年9月に連結子会社化している。その後大幅に店舗を再編し、売り上げを急速に回復。ゲームセンター運営では現在業界トップシェアとなっている。
これに拍車をかけたのが、2007年7月に投入した業務用ゲーム機「ドラゴンクエスト モンスターバトルロード」。先行するセガの「甲虫王者ムシキング」と同様にトレーディングカードを用い、カードの販売とゲームプレイの両面で利益を上げている。広く親しまれているドラゴンクエストのモンスターを用いたことでプレーヤーへの認知度も高く、9月末現在でカードの販売数は約3170万枚、ゲーム機1台あたりのインカム(ゲーム機に投入されたプレイ料金)は平均で1日1万円という大ヒットとなっている。
「投入初月はインカムが1万9000円超。2番手を倍近く離してぶっちぎった」(代表取締役社長の和田洋一氏)。9月に投入した新シナリオも好評という。
その他のフランチャイズタイトルについても「ファイナルファンタジーXII レヴァナント・ウィング」が国内53万本、「ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔」が国内41万本と比較的好調に推移した。ただ、家庭用の据え置き型ゲーム機での展開が薄く、ニンテンドーDSとプレイステーション・ポータブル(PSP)の携帯型ゲーム機に偏った展開となった。
これに関しては「社内のリソースは据え置き型ゲーム機の新規タイトルに多く割いているが、ラインとしては携帯型ゲーム機が多くなっている。今後バランスを取っていきたい」(和田氏)と述べた。
関連して、一部メディアで「開発が止まっている」と報じられたミドルウェア「ホワイトエンジン」については「(開発は)止まっていない。ただゲーム開発側が他人の作ったコードを使うことに慣れていないため、不安視していたのが誤って伝わったのではないか。こうした社内の風土は変えていく」とした。また、この数カ月で各プラットホームについての見方や取り組み方を変えたか、との質問に対しても明確に否定した。
2008年3月期通期の連結業績計画については従来の予想を据え置いた。ニンテンドーDS向けに供給予定の「ドラゴンクエストIX」は8月に発売時期を2008年へと延期したが、この点について年度末までの発売は見込んでいないのかという質問があり、「業績計画には見込んでいない。基本的にはないということだが、まだ決めかねている。出すか出さないかはギリギリまで粘るつもりだ」と含みを残した。
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