「Hanauter.com」という一風変わったサービスがある。Skypeを使って自分が知らない曲を鼻歌で歌いサイトにアップすると、その鼻歌を聴いた他のユーザーが曲名や歌手名を教えてくれるというQ&A形式のサービスだ。
PCに向かって多くの人が鼻歌を歌い、世界に公開している姿はこっけいにも見えるが、運営者はその“バカバカしさ”を重視している。このサイトを運営しているのは、クラウドソーシング団体「わくわくオープンラボ」。ブログ「ちょーちょーちょーいい感じBLOG」の運営者で、自称「やわらか系エコノミスト」の保田隆明氏らが中心となって2006年8月に設立された団体だ。クラウドソーシングとは、プロジェクト毎に参加者をネットなどで募ってサービスや製品を開発、提供し、そのプロジェクトへの貢献度合いに応じて収益分配するという、米国で始まった新しいワークスタイルのことである。
シーネットネットワークスジャパンでは、Hanauter.comの開発に参加した人を含め、わくわくオープンラボに参加する総勢9名のメンバー(うち1名は沖縄からSkypeで参加)による座談会を急遽開催。わくわくオープンラボ参加の動機や、hanauter.com開発秘話を聞いた。
保田:思いつきです(笑)。ネットのサービスは安いコストで開発できて、一気にブレイクする可能性があるので、「どんどんつくったほうが面白いじゃん」ということで始めたんですよね。それに、組織でサービスを開発しようとすると(思いついたサービスをすぐに作れるわけではないので)機会損失が大きいんです。会社に勤務している人たちの持つ潜在的な時間と能力とアイデアを活かせる場をつくることで、機会損失をできるだけなくしたいと思ったんですね。
保田:2006年6月に自分のブログでメンバーを募集しました。最初のミーティング後にmixiでコミュニティを作成したところ、200人以上の参加者が集まったんです。一時はブレストも50人規模で開催していました。しかし、ミーティングを繰り返すうちに積極的に参加する人は減ってきたんです。
2006年の末ぐらいに、10人前後の固定メンバーが決まって、それからですね。Hanauter.comの開発が始まったのは。もちろんミーティングに来なくなった人たちもmixiのコミュニティには参加し続けています。
やのしん:保田さんがメンバーを募集した次の日に13名が集まって、六本木の中華料理屋で円卓を囲って、ご飯を食べたんです。
田中:僕は2回目の打ち合わせから参加しました。ちょうど僕が自分の会社のサービスをリリースしたときに保田さんと出会って、わくわくオープンラボに誘われたんです。
玉置:僕は実は、今日集まるのが2度目です。保田さんのブログでこのラボのことを知りました。
トミモト:私は(わくわくオープンラボの発起人の1人である)アジャイルメディア・ネットワークの徳力基彦さんからの紹介です。ただ、先週末に「じゃあ来てください」と言われて、実は今日が初参加なんですよ(笑)
猪俣:僕は最初「Web 2.0的なこと」をしなきゃとか、頑張らなきゃいけないと肩肘を張って参加したんですが、そのうちに、肩の力が抜けてきました。
猪又:もともとは田中さんのアイデアなんですよね。
田中:5〜6年ぐらい前から鼻歌を使ったサービスがあったらいいなと考えていたんです。サービスの仕組みもだいたい頭の中にできていました。ただ、当時は会社勤めをしていたのでなかなか実現できなかったんです。
このラボがスタートして半年ぐらいたった2006年末にブレストをしていたんですが、みんなまじめにサービスを考えていたら行き詰まってしまっんですよね。そこで、「せっかく仕事から離れてサービスを開発するんだから、馬鹿なことやろう!」と提案したら、すんなり受け入れられて。Hanauter.com」のアイデアが通ったのはタイミング勝ちですね。
やのしん:おおまかな議論はmixiのコミュニティで行って、細かな技術的やりとりは基本的にメールやGoogleグループで行いました。
猪又:各論を話し合う場合は、Googleグループでやるとメールのやりとりがすべてウェブ上にアーカイブされるので便利ですね。
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