産学連携で求められるのは多様化--半導体業界の関係者が議論

 企業は技術経営力を強化し、イノベーションを起こすために、産官学連携にいかに取り組むべきか――。東京・東京国際フォーラムで開催中の独立行政法人科学技術振興機構(JST)、および独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催する産学マッチングイベント「イノベーション・ジャパン2007-大学見本市」において、「技術経営力の強化へ向けて〜ダイナミックなイノベーションモデルの討議と技術経営力強化へ向けた産官学連携の取組〜」と題したプログラムが9月13日に行われ、半導体業界の関係者が議論を交わした。

 まず、半導体理工学研究センター(STARC)代表取締役社長兼CEOの下東勝博氏が登壇し、「半導体産業とR&D〜変化とそのスピード〜」と題した講演を行った。

 半導体設計技術の強化を目的に、日本の主要半導体メーカーが出資し、1995年12月に設立されたSTARCは、国内大学の半導体関連研究基盤を拡大するため、大学と半導体産業界との共同研究を推進する事業を設立当初より手がけている。

 下東氏は冒頭で「半導体産業はさまざまな産業の中でも最もグローバル化しており、競争の激しい産業のひとつ。事業経営の面でも技術開発の面でも難しい舵取りが必要とされている」と半導体業界の現状を語った。

 下東氏によると、日本の半導体産業は1990年代後半から年々世界市場におけるシェアを低下させており、現在は最盛期の70%のシェアを失ったという。また、半導体産業の転換点は1995年にあったといい、以降は「“新製品・新技術のスピーディーな開発”と“高コスト体質の解消”という相反する施策が同時に求められる時代に突入した」と語り、半導体の技術開発はもはや1社が独立して独自に研究を進めるようなスタイルでは対応が難しいとして、コンソーシアム(産学官連携)の必要性を強調した。

 さらに、「日本はソフトウェアなどの知財を活用する時代になってきたのは事実だが、ものづくりという日本の強みをしっかり認識しておかなければ、グローバルな競争に負けてしまう」と、半導体産業の意義を語り、「産業は生き物、動態としてとらえなければならない。競争の場合は適者が生存する。生き残るためには競争と協調という2つの戦略をバランスよく使い分けなければならない。これらを通じて常に変化(Transformation)しなければならない」と産業界で生き残るための鉄則をまとめた。

 また、続いて三菱電機常務執行役開発本部長の久間和生氏、東京工業大学教授の岩井洋氏、東京大学VLSI Design and Education Center教授の浅田邦博氏の3名が加わり、慶応義塾大学総合政策学部教授の榊原清則氏をモデレーターに、パネルディスカッションが行われ、各パネリストが産学それぞれの立場から半導体産業の現状認識と提言を発表した。

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