UPDATE 欧州委員会は、チップ技術企業の米Rambusの独占禁止法違反行為に関する調査に乗り出したことを明らかにした。
欧州委員会は、現地時間7月30日にRambusに対し異議声明(Statement of Objections)を送った。欧州委員会は8月23日に声明で、Rambusの独占禁止法違反に関する同委員会の仮見解を明らかにし、「(Rambusは)DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップに関するいくつかの特許の利用に対し不当なロイヤリティーを要求し、独占的地位の乱用について定めた欧州競争法(EC Treaty)の規則に違反した」と述べた。
欧州委員会は、Rambusが「特許による待ち伏せ(patent ambush)」に参加したか否かを調査する。欧州委員会がこの種の調査を実施するのは今回が初めて。同委員会は異議声明で、RambusがDRAMチップの標準策定過程で「故意による詐欺的行為」を行ったという見解の概要を説明している。
DRAM技術に関連した標準は、1990年代に米国の標準化団体Joint Electron Device Engineering Council(JEDEC)によって策定された。Rambusも1992年から1995年までJEDECに参加していた。欧州委員会は、Rambusが所有、主張しているDRAM関連特許を同社が標準策定過程において開示しなかったか否かを調査する予定。
欧州委員会によると、Rambusが所有、主張する特許は、JEDECの策定した標準に含まれる技術もカバーしていると同社は主張しているという。同委員会は声明で、「その結果、シンクロナスDRAMチップやチップセットを製造したいと考えているメーカーは、Rambusからライセンスを取得するか、あるいは同社が主張する特許権について訴訟で争わなければならない」と述べている。
欧州委員会は現時点では、Rambusが問題のDRAM特許の利用に対して不当なロイヤリティーを要求し、支配的市場地位の乱用について定めた欧州競争法の規則に違反したと考えている。欧州委員会は声明で、「Rambusが『特許による待ち伏せ』を行っていなければ、同社は現在要求しているような法外な額のロイヤリティーを請求できなかっただろうというのが当委員会の仮見解だ」と述べている。
米連邦取引委員会(FTC)も2006年8月と2007年2月に出した命令の中で、Rambusが「DRAM市場を違法に独占している」との判断を示したが、FTCが出した「救済措置」は米国の特許にしか適用されない。欧州委員会によると、その救済措置が海外の特許に適用されるのは、それらの特許が米国に輸入される、あるいは米国から輸出される関連製品に関係している場合に限られるという。一方、Rambusは、現在もFTCの裁定について米国の複数の裁判所で争っているとしている。
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