Free Software Foundation(FSF)は米国時間5月31日、GNU General Public License(GPL)の新版に向けた最終ドラフトをリリースした。ドラフトでは、今後MicrosoftとNovellが交わしたような特許提携を禁止しているが、両社の提携自体は継続を認めている。
MicrosoftとNovellの提携には、MicrosoftがNovellの「SUSE Linux Enterprise Server」(SLES)ユーザー向けに特許侵害で訴えないことを保証するクーポンを販売するという合意が含まれており、2006年11月の発表時にはFSFの怒りを買った。以前のGPLバージョン3(GPLv3)ドラフトではそのような提携の元でソフトウェアを配布することを禁止していたが、あらゆる提携を対象とするのかGPLv3リリース後の提携のみを対象にするのか、決定を先送りしていた。
「ラストオーダー」であるGPLv3最終ドラフトでは将来の提携のみを禁止しており、32ページにわたる変更点の説明(PDFファイル)では、これを「戦略的な」理由によるものだとしている。Novellは、GPLv3が適用されるSLESのソフトウェアについて、配布の心配をしなくても済むようになった。
FSFは「Novellが、GPLバージョン3を採用したソフトウェアを利用することを認めることで、それを禁止した場合よりも、コミュニティーの保護により大きな効果をもたらすことが可能だと考えている」と述べた。FSFによると、Microsoftがクーポンを発行しているために、SLESがGPLv3ソフトウェアを盛り込めば、Microsoftのクーポン経由でなくてさえ、ライセンスはソフトウェアを手にした人すべてを対象に、特許保護をもたらすことになるのだという。
FSFはその根拠として「単一取引もしくは提携に基づき、効力の対象を譲渡しもしくは譲渡の斡旋をして伝播させ、効力の対象を取得するいかなる特定の者に特許権を許諾して、効力の対象の複製物について利用、複製、改変、譲渡を認めた場合、特許権の許諾は、効力の対象を取得するすべての者および効力の対象の派生物すべてに、自動的に適用される」というGPLv3最終ドラフトの特許関連条項に言及している。
GPLは、フリーソフトウェア関連やオープンソースソフトウェア関連で最も広く採用されているライセンスで、Linuxカーネル、ファイルサーバソフトウェアの「Samba」、データベースソフトウェアの「MySQL」などが採用している。正式版のGPLv3は6月28日にリリースされる予定。
新ライセンスのドラフト作成は困難な作業だが、ドラフト作成に尽力したコロンビア大学ロースクール教授であるEben Moglen氏は、コンセンサスが形成されつつあるという見解を示した。ライセンス要件の差異が他のプロジェクトとの間に壁を生むことがあるオープンソース界では、合意の形成がとくに重要なのだという。
GPLv3最終ドラフトでは、以前からの目標であったApache Licenseとの互換性についても、予定通り対応がなされた。オープンソースプロジェクト間の壁をひとつ打ち破ることにつながるだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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