ミクシィは5月10日、2007年3月期の決算を発表した。運営するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「mixi」の広告収益が順調に伸び、売上高は2.8倍、営業利益、経常利益ともに2.4倍の成長となった。
2007年3月期(2006年4月1日〜2007年3月31日)の売上高は52億4700万円(前年同期18億9300万円)、営業利益は21億8400万円(同9億1200万円)、経常利益は21億4700万円(同9億1200万円)、純利益は11億1800万円(同5億7600万円)だった。売上のうち、mixiが38億7900万円と約7割を占め、インターネット求人事業「Find Job!」は13億6700万円。
また同日、株式の分割を決議したことも発表された。2007年7月1日をもって普通株式1株を2株に分割する(株券交付日は8月20日)。投資金額を引き下げ、株式の流動性向上と投資家層の拡大を図る方針だ。代表取締役社長の笠原健治氏は「分割については今後も市場の状況を見ながら判断していく」とした。
ミクシィの業績を牽引したmixi事業の2006年度通期を振り返ると、mixiミュージックやmixi動画などの新サービス追加のほか、mixiモバイルの機能向上によるモバイルユーザーの増加などが目立った。2007年5月10日現在でユーザー数は983万人(2006年3月は340万人)となり、月間PVはPCが69.1億、モバイルが40.3億の計109.4億PVに上る(2007年3月末時点)。
サイト訪問頻度や滞在時間なども好調で、1ユーザーあたりの月間滞在時間は3時間15分(ネットレイティングスが3月末に調査)。3日以内のサイトを利用するアクティブ率は約64%だった。
新サービスでは2007年2月に開始したmixi動画が好調だ。すでに約20万件の動画がアップロードされており、すでに「国内最大級の規模」(笠原氏)。現在はプレミアム会員のみアップロード可能となっているが、今後の展望については「ユーザーの投稿意欲、投稿本数ともに順調。機能を改善した上で全ユーザーに開放していく。mixiの中でも存在感のあるサービスになるだろう」と語った。
笠原氏は、2006年8月に上場したことで認知度が向上したこともユーザー数・PV増加の要因となったとしている。また大手クライアントからの広告出稿も続き、「広告単価は如実に上がっている」(笠原氏)。第3四半期(2006年10月〜12月)の広告単価は0.041円〜0.05円を推移していたが、第4四半期(2007年1月〜3月)では0.06円〜0.08円にまで上昇しており、モバイル広告の単価も第3四半期は0.01円だったが、第4四半期では0.01円から0.014円となっているそうだ。これには、ターゲティング広告、クチコミ広告、「mixi×ドラマ」といったSNSの特徴を活かした広告商品も貢献しているという。
同様のSNSは多く登場しているが、特に競合を意識することはないという。そのなかでもmixiモバイルの競合と捉えられることが多く、昨年から大きくユーザー数を伸ばすモバイルSNS「モバゲータウン」について感想を求められると、「mixiとモバゲーの違いは2つある。1つはユーザーの年齢層で、モバゲーは10代が中心だが、mixiは18歳未満の利用を禁止している。2つ目はリアルとの結びつき。mixiは招待制であるため、リアルの人間関係に基づいている。モバゲーは基本的にリアルにひも付いているわけではなく、実名登録、実際に会うことは禁止されている。両サービスを使っている人から見れば、コンセプトは違って見えるはず」と述べた。
今後の新サービスの予定については、当面は動画・音楽、携帯電話向けサービス全般を随時強化していく方針。そのための資本・業務提携には前向きで、M&Aも視野に入れているという。慎重な経営姿勢で知られる笠原氏だが、「(M&Aに)否定的なわけではない」という。
2008年3月期の業績は、売上高97億円(前期比84.9%増)、営業利益32億円(同46.5%増)、経常利益32億円(同49%増)、純利益17億5000万円(56.5%増)を見込む。
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