Microsoftが、同社の文書フォーマット「Office Open XML」の標準化プロセスの迅速化を要望する嘆願書をインターネット上に掲載している。この嘆願書の裏には標準化に向けたプロセスに対する同社の懸念が見え隠れしていると、ある有力なオープンソース提唱者は指摘する。
Open Source Consortiumの創設者であるMark Taylor氏は、この嘆願書は、Open XMLに対する「草の根を装った」支持を集めようというMicrosoftの試みだ、と主張する。
Taylor氏は米国時間4月5日、ZDNet UKのインタビューで、「確かにオープンソースの世界では、大規模な草の根運動が展開されている」と述べた上で、さらに次のように続けた。「Microsoftが(オープンソースから)学ぼうとしてきた教訓の1つがまさにその草の根運動だ。しかし、同社はそれをでっち上げる必要がある。仮に同社に対する何らかの草の根の支持が存在するとしたら、(嘆願は)はるか昔になされていたはずだ」
その嘆願書は、3月29日にMicrosoftの英国版サイトにアップロードされた。同社はその中で、各企業に対し、International Organization for Standardization(ISO)におけるOpen XMLの標準化プロセスの迅速化に対する支持を表明するよう要請している。Open XMLは、「Office 2007」で採用されているが、同社は同フォーマットを文書作成ソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトの国際的オープンスタンダードとして推進している。
Taylor氏は5日、「現在、すでにOpenDocumentフォーマットという国際標準が存在しており、同フォーマットを採用する政府が増えている」と述べた上で、「第2の標準を採用する必要性は全くない」と付け加えた。
今回の嘆願書は、米国の復活祭や過ぎ越し祭による休日の少し前に発表された。Taylor氏は、Microsoftがそのタイミングを選んで嘆願書を発表したことについて、この取り組みに対する反対を回避する狙いがあったと推測している。また最近、Open XMLの標準化プロセスは新たな段階へと前進したが、Taylor氏はこの点についても、Microsoftは「Open XMLの推進において大きな問題を抱えて」おり、嘆願書は「同社の懸念の表れ」だと指摘する。
このTaylor氏の見解に、Foundation for a Free Information Infrastructure(FFII)のディレクターであるRufus Pollock氏も同意した。同氏はZDNet UKに対し、Microsoftが(Open XMLの標準化プロセスの)迅速化を促しているのは、同社が人気のOpenOfficeパッケージを通じてOpenDocument Formatが普及することを恐れているからだと語った。またPollock氏は、Open XMLの仕様が6000ページに及ぶ点に言及し、Open XMLの内容については(特許など)多くの懸念があり、同フォーマットの標準化プロセスの迅速化は適切ではないと指摘した。
「複雑すぎる提案を無理に推し進めることで、Microsoftを除いて快く思うものはいないだろう」(Pollock氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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