Oracleは米国時間3月22日、同社の顧客サポートセンターに侵入し、プロプライエタリなソフトウェアコードを違法に複製して持ち去ったとして、競合するソフトウェア大手のSAPを提訴した。
本件はカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に起こされたもので、SAPおよびその傘下にあるTomorrowNowが被告となっている。訴状(PDFファイル)では、SAPおよびTomorrowNowが、コンピュータの不正行為および悪用、コンピュータデータへの不正アクセスおよび詐欺、将来の経済的利益に対する故意の妨害などを働いていたという。
SAPの広報担当は、訴状を見るまでコメントはできないと話している。
Oracleによれば、同社は2006年11月、パスワードで保護されたPeopleSoftおよびJ.D. Edwards顧客向けのカスタマーサポートおよび保守サイトで、異常な量のダウンロードが行われていることに気がついたという。
問題の「Customer Connection」サイトを調べたところ、サポートおよび保守契約がすでに切れているか、間もなく切れる顧客が同サポートおよび保守サイトにアクセスし、1万件以上の不正なダウンロードを行っていることが確認されたと、Oracleは述べている。同社はさらに、身元を偽ったと考えられるこれらすべての顧客に共通しているのは、TomorrowNowの顧客になることが決まっていたか、直前にそうなっていた点だと指摘した。
訴状には、「このたびのOracleソフトウェアおよびサポートマテリアルに対する組織的な窃盗行為は、顧客の実際の所在地から仕掛けられたものではなく、SAP Americaの支社があり、SAP傘下のTomorrowNowの本拠地でもある、テキサス州ブライアンのIPアドレスが発信源だった」と記されている。
SAPが2005年に買収したTomorrowNowは、PeopleSoftおよびJ.D. Edwardsユーザーにサポートおよび保守サービスを提供している。Oracleが2005年に、PeopleSoftおよびJ.D. Edwardsを買収した直後から、SAPはTomorrowNowとともに顧客を誘い込む一大キャンペーンを開始した。
SAPの従業員が、PeopleSoftおよびJ.D. Edwards顧客用のログインIDを複数使用し、Customer Connectionシステムに不正アクセスしたという。そして、偽の電子メールアドレス、ユーザー名、電話番号を提供したという。
Oracleは、同社のカスタマーサポートサイトに対するSAPのアクセスを制限する予備的差し止め命令を出し、SAPが不正な手段で持ち去ったと思われるカスタマーサポートおよび保守関連ドキュメントを返還させる命令を下すよう、裁判所に要請している。
訴状では、流用されたCustomer Connectionアカウントは、顧客が契約したサポート範囲を超えて、ソフトウェアやサポートマテリアルにアクセスするために利用されたと述べている。
「顧客の信用情報を使って、SAPは1日に平均1800以上のものを4日連続で突然ダウンロードし始めた。通常の顧客は1カ月で20程度が平均になっている」と訴状では述べられている。
OracleとSAPは両社とも、過去に逆の立場も経験したことがある。
1999年、SAPは競合のSiebel Systemsに対し訴訟を起こしている。この訴訟では、SiebelがSAPの主要な従業員27人を引き抜いた際、SAPは企業秘密が「知的に」流出したとしている。
Oracleは2000年に、私立調査員を雇い入れ、反トラスト訴訟でMicrosoftを支持した2つの調査グループがMicrosoftから資金提供を受けていたかどうかを探っていたことを認めた。この調査会社は、調査グループのオフィスからでたゴミを清掃員から買い取ろうとしていたと言われている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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