Microsoftが「Windows Vista」を華々しく宣伝しアップグレードを勧める中で、米国の2つの連邦政府機関が、Vistaへの乗り換えに「待った」をかけている。
米運輸省(DOT)と米商務省の標準技術局(NIST)は、互換性に関する懸念を理由の1つに挙げて、多くの職員に対し、当面Vistaにアップグレードしないよう通達を出した。
NISTの広報担当者は米国時間3月13日、「われわれは、一時的措置として、Vistaで動いているコンピュータをNISTのネットワークに接続することを禁止している」と述べた。NISTの技術スタッフは現在、同組織で利用するアプリケーションをVista上でテストし、セキュリティを評価しているところだという。「Internet Explorer 7」(IE 7)と「Office 2007」についても同様のテストを進めている、とこの広報担当者は話す。
政府機関がソフトウェアの大きな変更に慎重になるのは珍しいことではない。大規模な組織は特に、テストを何度も繰り返してからでないと、アップグレードされたソフトウェアの導入に踏み切らない傾向にある。Microsoftが「Windows XP Service Pack 2」(SP2)をリリースした時も同じことが起きた。職員数5万4000人のDOTと2900人のNISTによるこうした動きは、「Information Week」誌によって最初に報じられた。
DOTは、Vista、Office 2007、IE 7の使用を禁じている。1月19日にDOTが出した覚え書き(PDFファイル)によるとDOTでは、アップグレードを控えるべき理由として、互換性の問題に加え、アップグレードにかかるコストの問題、使える予算の問題、DOTの移転問題を挙げている。DOT関係者が13日に語ったところでは、この覚え書きは今もまだ通用するという。
覚え書きには、「技術的に、あるいは業務を遂行する上で、Microsoftの新しいソフトウェア製品へのアップグレードが必要と思われる事例はないようだ」と書かれている。DOTは2007年4月に次の通達を出し、2008年以降の方針を明確にする予定だ、と関係者は話す。
一方、Microsoftは声明の中で、同社の最新の製品を導入しやすくするよう多くの政府機関に協力していると述べながら、「われわれは顧客の決断を尊重する」とも述べている。
DOTの下で最大の組織である米連邦航空局(FAA)は、Microsoft製OSや生産性ソフトウェアに代わるものの導入を検討している、とFAAの広報担当者Tammy Jones氏は語る。代わりの選択肢としては、「Linux」でデスクトップを動かすことや、Googleのオンラインアプリケーションを利用することも含まれる、とJones氏は述べた。
「われわれは、Microsoftの新製品に乗り換えた場合、コスト面でFAAにどのような影響が出るかを検討しようとしている。他にどういう代替製品があるか調べたい。Googleはわれわれが目を向けているものの1つで、Linuxもそうだ」と語る。FAAには約4万5000の職員がいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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