安倍首相を議長とする、政府の経済財政諮問会議が2月27日に開かれ、伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏ら4人の民間議員が連名で「デジタル・コンテンツ流通促進法」の整備を提言した。
現在、ネット上のデジタルコンテンツの流通には、著作権、商標権、意匠権などのすべての権利者から事前に個別に許諾が必要。手続きの煩雑さや費用面がネックとなり、過去のテレビ番組などのデジタルコンテンツの再利用が妨げられ、コンテンツ市場の成長を阻害する要因となっている。
これに対して民間議員4人は、全権利者からの再利用許諾を事前に得なくても、使用料の支払いでコンテンツのネット配信が可能になるなど、簡便な手続きの必要性を言及。関連法を2年以内に整備するよう求めた。
また、現在利用できる電波帯域(無線のITインフラ)の制限が、IT利用型の新サービスの可能性を制約しているとし、電波の有効利用促進のための2次取引市場の創設を提案。年内をメドに、沖縄、北海道など電波の相互干渉問題が少ない地域に“電波特区”を創設し、新たな無線技術の実証実験や、商用利用、電波の2次取引を行えるようにすべきだと主張した。これに対し、菅総務大臣は「電波特区に限らず、“デジタル特区”というふうにもっと広げて、電波以外のものも含めて取り組みたい」と発言し、実現に向けた前向きな姿勢を示した。
会議では、そのほかにも、医療のIT化の推進や、民間における標準化されたITシステムの普及・促進、世界最先端の電子政府の実現のための内閣IT調達本部の創設などが提言された。今後は各関係省庁で調整を進め、諮問会議で改めて議論され、政府が6月にまとめる「骨太の方針」へ盛り込まれる方針。
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