これからは、捜査機関や諜報機関以外の人間が、他人になりすまして個人の通話記録を売買したり入手したりする「プリテキスティング」は連邦犯罪と見なされ、刑務所に送られることになりそうだ。
Bush大統領は米国時間1月12日、「Telephone Records and Privacy Protection Act of 2006」に署名した。この法律は、別人になりすますなど、何らかの詐欺的手法を用いて、電話会社から顧客の通話に関する機密データと見なされるものを入手した者に、最高10年の禁固刑を科すことができるという内容のものだ。
今回の法律ができる以前でも、他人になりすまして財務記録を入手することは連邦法で禁じられていた。また、カリフォルニアなど一部の州はすでに、プリテキスティングによる通話記録の入手を非合法と定めている。しかし、多くの政治家や消費者擁護団体は、そうした行為が完全な法律違反であることを明記した連邦法の成立を求めていた。
法案を最初に提出したLamar Smith米下院議員(テキサス州選出、共和党)は、2006年12月に法案が米上院を通過した時の声明で、「不正な手段で入手した通話記録の売買が盛んに行われているのは、それが犯罪として追及される可能性が少なかったからだ」と述べた。
そうした行為を犯罪と見なし罰していこうという声が再び強まってきた背景には、2006年夏、Hewlett-Packard(HP)の役員会でのやりとりがメディアに漏えいするというスキャンダルがあった。この情報がどこから漏れたかを調べるために、HPの調査員がなりすまし手法を用いて、CNET News.comの記者も含めた複数のジャーナリストやHP役員の通話記録を入手していたことを、HPは認めた。HPに雇われたデータ仲介会社の社員が12日、記録を手に入れるために「詐欺と欺まん」の行為があったとして有罪判決を言い渡されている。
Bush大統領は同日、ほかにもこれとは関係のない6件の法案に署名した。ホワイトハウスの報道官は、プリテキスティングを禁じる法案について大統領から特別なコメントは何もなかったと語った。
12日に署名された法案は、一般市民でさえ費用を100ドルもかけずにオンラインで他人の通話記録を買うことができるという報告に憤慨した議員たちが出した、10以上の法案の1つだった。しかし、提出された法案は、すべてではないがそのほとんどが、捜査機関や諜報機関を除外する条項を含んでいた。発表された報告によると、そうした組織は日常的に、人を雇ってプリテキスティングをやらせているという。
大統領のデスクにたどり着いた法案は、2006年4月末に賛成409対反対0で下院を通過したが、上院では、対案をめぐって合意に至らない部分が残ったこともあり、12月の審議最終日まで議論が長引いていた。上院議員の中には、顧客のデータ保護のために電話会社に一層の負担を求めようとする動きもあったが、業界側は、不正を食い止めるためにすでにさまざまな措置を講じていると主張し、反対する姿勢を示した。
さらに法案を成立させようという動きもあるようだ。Ted Stevens上院議員(アラスカ州選出、共和党)は1月4日、ワイヤレス通信事業者、インターネット事業者、有線通信事業者に対して、権限のない人間が顧客の記録にアクセスしないようにする新たな保護策の導入を義務づける法案(PDFファイル)を再提出した。Stevens上院議員の法案は、自分の記録を許可なく入手した人物を相手取って顧客が訴訟を起こすことを認めている点が特徴となっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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