CIGS系太陽電池の新興企業Miasole、約3500万ドルの資金を調達

文:Michael Kanellos(CNET News.com) 翻訳校正:緒方亮、福岡洋一2006年10月30日 22時46分

 ベンチャーキャピタリストの間でCIGSが人気だ。

 CIGS(銅、インジウム、ガリウム、セレン)系の太陽電池を手がける新興企業のMiasoleは、約3500万ドルのベンチャー資金を新たに調達した。カリフォルニア州サンタクララにあるこの会社は、それ以前に約2140万ドルの資金を調達している。

 CIGSは現在、シリコン系のソーラーパネルに対抗しうる技術として浮上している。CIGS系の太陽電池は、太陽光の利用効率ではシリコン系太陽電池に及ばないが、製造費がかなり安くなると、CIGSの利用を提唱する側は話す。

 CIGS推進派によると、CIGS系パネルはシリコン系パネルよりも使用する原料がずっと少なく、工場自体の建設費も低いという。Miasoleの最高経営責任者(CEO)であるDavid Pearce氏は、100メガワット分のソーラーパネルを年産する工場を、同社は2500万ドルで建設できると話している(米国時間10月27日、電話での短いやりとりの中で、Pearce氏は約3500万ドルの投資の件を認めたが、それ以外の話に関してはコメントしなかった)。

 Pearce氏の見積もりについては低すぎるという異論もあるようだが、一般にCIGS系の工場は比較的資本が少なくてすむと考えられている。シリコン系の場合は、30メガW分のパネルを年産する工場に、約7000万ドルかかる場合がある。

 この違いは、シリコン系のパネルの製法がシリコンチップの製法と同様だという事実から来ている。これに対しCIGS系では、CIGS原料を、薄くて柔軟性のある膜やポリマーシートに付着させる(または、プリントする)。これは通常、ハードディスクの製造と同じ装置で行われる。薄膜上にパターンを作るのにはシルクスクリーンが用いられる。

 CIGS系のメーカーとしてMiasoleのライバル企業であるDayStar Technologiesで、営業担当バイスプレジデントを務めるTerry Schuyler氏は、最近のインタビューの中で「お望みならTシャツのロゴにでも作り込める」と冗談を言っている。

 これまで、シリコンの不足がソーラーパネル業界の売り上げにとって障害になっている。CIGSの場合も、液晶テレビに使用されているインジウム(その頭文字がCIGSの「I」)が、いずれ供給不足になるのではないかと、一部のアナリストは話している。しかし、ソーラーパネル業界の経営陣はこうした懸念を重要視していない。Schuyler氏によると、実はインジウムは地球でかなりありふれた元素だという。

 どこにも問題はないのだろうか。CIGS系太陽電池はまだ、導入実験向けに少量の製造しか行われていない。大量生産に最も近いところにいるのはMiasoleとDayStarだが、両社が量産を開始するのは2007年の前半になる予定だ。

 それでも、投資家はコンセプトに惹かれて集まっている。もう1つのCIGS系企業であるNanosolarは、2006年すでに、430メガW分のパネルを年産できる工場の建設に向け、1億ドルを調達している(つまり、工場が1年間に生産するパネルをすべて集めれば、一度に430メガW相当の電力を供給可能ということになる。ちなみに、主要な石炭火力発電所1基の年間発電能力は約500メガWだ)。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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