米議会で高まるプライバシー保護法制定への気運--ウェブサイト運営者を規制か

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2006年08月10日 20時26分

 AOLが先ごろユーザーの検索履歴情報を流出させ、ユーザープライバシーに関する問題が浮上したことを受け、インターネット企業が収集するデータの扱い方を法律で厳格に規制する動きが活発になりつつある。

 Ed Markey下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は米国時間8月9日、65万人以上ものユーザーの検索データがAOLから流出したことを受け、新しい法律を設けることの必要性を主張している。AOLはこの件について謝罪している。

 「米国市民の私生活を垣間見られるような情報を、企業が必要以上に保存するのを阻止しなければならない」とMarkey氏は述べた。

 「Eliminate Warehousing of Consumer Internet Data Act(EWOCID)」と呼ばれるMarkey氏の法案は、Googleが検索履歴の問題に関して司法省を相手に法廷で激しい争いを繰り広げた後の2006年2月に提出された。

 それ以来、この法案は下院委員会の中でのみ検討されてきたが、Markey氏の広報担当は9日、「今回の事件を機に、共和党の主導の下、協議が進められることを望む」と述べた。

 EWOCIDは、検索エンジンのみにとどまらない広い範囲を対象とする。すべてのウェブサイト運営者に、名前や電子メールアドレスから、場合によってはIPアドレスまでを含むすべての個人情報をログから削除することを要求しており、欧州におけるプライバシー規制をならう形となっている。違反した場合は、米連邦取引委員会(FTC)により罰せられる。

 Google、Yahoo、CNET Networksなどの企業を代表するNetCoalitionなどの技術業界のロビー団体は、EWOCIDに対して懸念を表明している。サンフランシスコの太平洋研究所(Pacific Research Institute)などの団体も同様である。

 「Markey下院議員の法案は、技術企業を細部まで管理しようとするものであり、誤った方向への大きな一歩となりかねない」と太平洋研究所の技術ポリシー担当ディレクターSonia Arrison氏は言う。「FTCの方がGoogleやYahooよりもデータ管理についてよく知っているとでも言うのか」(Arrison氏)

 氏名こそ含まれなかったものの、ユーザーの詳細な入力情報を公開してしまったAOLの失態に対する議論は9日、カリフォルニア州サンノゼで開催されたサーチエンジンストラテジーカンファレンスにおいてもとり上げられた。

 カンファレンス「Search Engine Strategies」を主催したSearch Engine Watchの編集者であるDanny Sullivan氏は、Googleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏に対して、AOLの事件からGoogleはユーザーデータを保存する期間に期限を設けようと思うかと尋ねている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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