創立から31周年、時代の変化に苦闘するマイクロソフトの今

文:Michael Kanellos(CNET News.com) 翻訳校正:大熊あつ子、長谷睦2006年06月16日 21時45分

 Microsoftは2006年、創立31周年を迎える。同社にもはや、かつてのような若さはない。

 Microsoftは今なお世界最大のソフトウェア企業で、ハイテク市場に非常に大きな影響力を持つ、ごく少数の企業の1つだ。しかし、成功により巨大化したことで、同社はより小規模な競合他社と比べて、検索やオンライン音楽市場で遅れを取る結果も招いている。

 現在はIntellectual Venturesの最高経営責任者(CEO)で、かつてMicrosoftで最高技術責任者(CTO)を務めていたNathan Myhrvold氏は次のように語っている。「Microsoftは今でも非常に広範な分野のビジネスチャンスを捉え、見事にものにしている。だが、見渡す限りビジネスチャンスが広がっていたかつての時代とは様相が異なる。Googleのすることに間違いはないとか、Microsoftはもはや時代遅れの過去の企業だ、などと考える風潮が強いが、これはどちらも間違った考え方だ」

 それでは、Microsoftの強みと弱みを事業分野別に見ていこう。

検索およびオンラインサービス

 この分野で、Microsoftが3位の地位に甘んじているのは明らかだ。検索ではGoogleがトップの地位を確立しているほか、Yahooも固定ユーザーを獲得しようと、Flickrなどの企業買収を通じて積極的に攻勢をかけている。Microsoftも自社の検索サービスの改善に努めているが、「MSN」および「Hotmail」に加えられた改良は、GoogleやYahoo追撃の大きな一手にはなっていない。

 市場調査会社GartnerのアナリストDavid Smith氏は、次のように分析する。「サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、オープンソース、『Web 2.0』などの登場により、Microsoftはこの分野で非常に激しい競争と変化に直面している。現在のMicrosoftの製品および戦略は、既存の製品を見れば明らかなように、こうした動きにうまく対応できていない。そちらの方向に動いているのは確かだが、まだ道は長いといったところだ」

パソコン向けOS

 パソコン向けのOS市場では、Microsoftはいまだに90%以上のシェアを誇っている。最近はApple Computerも健闘し、全世界のシェアを2.3%にまで伸ばしているが、これでも1997年当時のシェアと比べると3分の1程度というのが現実だ。LinuxもデスクトップPCの分野ではまだそれほどの脅威にはなっていない。

 それでもなお、先行きに不安は残る。それは、大規模なアップグレードとなる「Windows」の次期バージョン「Windows Vista」だ。Vistaは開発が何年も遅れており、現時点で一般発売は2007年の初頭になるとされている。Microsoftは11年前に「Windows 95」をリリースして以来、業界全体にアップグレードを促すような新バージョンのOSを出していない。それ以降は、企業も個人も、ハードウェアが古くなったときや、2000年問題などに対処する必要が生じたときなどに、コンピュータを買い換えているというのが大部分のアナリストの見方だ。

 また、業界アナリストによれば、2006年中はアップグレードの大きな波は期待できないという。GartnerおよびIDCは、周期的には2004年と2005年が大きなアップグレードの年だったとしている。したがって、次に大きなハードウェア買い換えの波が訪れるのは、2007年かそれ以降になる見込みだ。

 Microsoftは、Vistaの機能がハードウェアのアップグレードを促すと主張するが、Gartnerはすでにこの主張に異を唱え、顧客に対しアップグレードは慎重に行うよう呼びかけている。

デスクトップアプリケーション

 この市場でもMicrosoftは90%を超えるシェアを確保しているが、常に小規模な競合他社からの攻勢を撃退する必要に迫られている。Googleは新たにウェブベースの表計算ソフト「Google Spreadsheets」を発表し、さかんに宣伝しているほか、今後は他のデスクトップアプリケーションもリリースする見込みだ。ただし、Googleのアプリケーションに対しては否定的な見方もある。

 Myhrvold氏はGoogleの表計算ソフトを評して「これは決してMicrosoftの『Excel』に取って代わるものではない。1987年版の『Lotus 1-2-3』にすらかなわないのではないかと思う」と述べている。

 Microsoftがアプリケーション分野で行っている、さらに興味深い取り組みの1つに、「Windows Live」サービスがある。これはMicrosoftが同社に協力する開発者たちのネットワークと共同でアプリケーションを構築し、それをホスティングしたり、インターネットを介して配布したりするという仕組みだ。さまざまな面で、Windows LiveはGoogleやSun Microsystems、Salesforce.comが推進してきた手法を組み合わせ、広告による収入を得てソフトウェアを無料配布するものと言える。問題は、同サービスが機能するかどうかという点だ。

 「これはMSNにとって、新たな広告収入の獲得手段だ」と、市場調査会社Directions on Microsoftのアナリスト、Matt Rosoff氏は分析する。

 MicrosoftのCEO、Steve Ballmer氏はWindows Liveについて、先日も次のように述べている。「わが社にとって、Live構想の意義はとてつもなく大きい。これは形態の変化、つまり、単なるソフトウェアからソフトウェアとサービスの融合形への移行なのだ」

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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