新たにMIT Media Labディレクターに任命されたFrank Mossは、技術革新が生まれる可能性は、企業の役員室や起業家のガレージより、家庭のリビングルームからの方が高くなると話す。
マサチューセッツ工科大学は米国時間2月15日、MossのMedia Labディレクター就任を発表した。知名度の高い同研究所に参加する以前の同氏は、ソフトウェアメーカーのTivoli Systems、WebサービスベンダーのBowstreet、そして最近ではガン治療薬を開発する製薬会社のInfinity Pharmaceuticalsなど、複数の企業を起業していた。
しかし、同氏は、企業の研究室やベンチャーファンドを獲得した新興企業より、技術ユーザーが発明の方向性を決めるケースが増えつつあるように感じているという。
「さまざまな場所から多くの革新が生まれてくると思う。将来的には、これまで新技術の受け手だった消費者の方から革新が生まれるようになる」とMossは15日に述べた。
同氏は例として、大学でのファイル共有やオープンソースソフトウェアの発展を指摘した。同氏はまた、ボストン近郊の高齢者が集まるシニアネットワークなど、共通の関心を持つオンラインコミュニティの誕生にも言及した。
「今は、メディアと技術の融合により、デジタルなライフスタイルが本当の主流になっている。これが、市場へのアイデアの流れを変えていくことになるだろう」(Moss)
MIT Media Labは、これまで同様さまざまな分野の研究を続けていくことになる。しかし、Mossは、参加者にはアイデアを「デモ(実証)」より先の段階に進めてもらいたいという。
Mossの考えでは、Media Labは代わりにプロトタイプの製作に関与すべきだという。その方が幅広い影響を与えられるようになるという。
実際、Media Labは既にいくつかの作品を世に送り出している。
Media Labの設立に携わり、同じく15日に辞任が発表されたNicholas Negroponteは1月、発展途上国の子ども向けに100ドルノートPCの製造と流通を専門に行う非営利財団を設立した。これは、同研究所の発案によるものだ。
「これまでは『デモがすべて』だったが、今後は『プロトタイプに命を賭ける』ようにする」(Moss)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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