悪質な広告用ソフトウェアを使った宣伝活動を続ける企業は、知らぬ間に米連邦取引委員会(FTC)に社名を公表され、恥をかかされる可能性がある。
FTCのJon Leibowitzコミッショナーは9日、Anti-Spyware Coalition(ASC)主催のイベントで、(FTCの)このような取り組みはアドウェア対策に役立つだろうと語った。アドウェアとは、主にインターネット検索などでアクセスしてきたユーザーに向け、PCの画面上にポップアップ広告を表示させるソフトウェアだ。
Leibowitzはインタビューに応じ、「(FTCの社名公表の取り組みは)有益な効果があると考える」と述べ、さらに「この取り組みで、企業が資金の使い方について恥をかくことになれば、消費者のプライバシー保護にも役立つだろう」と語った。
Leibowitzは、消費者のPCに密かにインストールされるアドウェアやスパイウェアを使って宣伝活動をする企業の名前を、FTCは公表することになるだろうと述べる。また同氏は、アドウェア問題が沈静化しなければ、広告主に公共の場で恥をかかせる取り組みをFTCの他のコミッショナーにも提言するという。
Anti-Spyware Coalitionのイベントでは、数名の参加者からLeibowitzの案は妙案だとの称賛の声が上がった。しかし、ネット広告サービス業界の業界団体Network Advertising Initiative(NAI)のエグゼクティブディレクターTrevor HughesはLeibowitzの案を「過激な行動」と表現した。
Hughesは、「世間には、自社の広告がどこに表示されているのか理解していない善意の広告主もいる」と述べた上で、「それらの広告主に恥をかかせるのは簡単だが、それではこの問題は解決しない」と付け加えた。
Hughesは、オンライン広告の扱われ方の方がより深刻な問題だと指摘した。多くの企業は第三者企業に宣伝活動を任せており、その第三者企業がさらに他の企業に委託し、結果的に広告が表示されるまでに多くの人々や企業が介入している。
America Online(AOL)のインテグリティアシュアランス担当バイスプレジデントJules Polonetskyによると、広告主はすでに、アドウェアなどの迷惑ソフトウェアを使った製品やサービスの販促活動の中止を求める消費者からの圧力に直面しているという。
Polonetskyは、「広告主らは、これが小さな問題ではないことを徐々に認識しつつある」と述べた上で、「すでに世間では、著名な広告主の誤った行動が記事にされてしまう環境になっている」と付け加えた。
すでに多くの人々が広告主である企業の社名を暴露している。ブロガーのBen Edelmanもその1人だ。ハーバード大学の博士課程の学生であるEdelmanはスパイウェアを専門にしている。
AOLは、アドウェアを使った宣伝は行わない方針だ。Polonetskyによると、AOLはその方針を維持するために、同社の宣伝を行っている企業がアドウェアを使った宣伝をしていないか常に監視していなければならないという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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