ソニーは1月26日、2006年3月期第3四半期(2005年10〜12月)の連結決算を発表した。液晶テレビのBRAVIA(ブラビア)や携帯ゲーム機のプレイステーション・ポータブル(PSP)が世界的に好調だったことに加え、円安の影響で売上高と純利益が四半期ベースで過去最高となった。これを受け、通期の業績予想も上方修正している。
第3四半期の業績は表1の通り。第3四半期の為替レートが想定よりも円安で推移したことに加え、売上高の70%を占めるエレクトロニクス事業が年末商戦で好調だった。また、株式市場の好況により、金融事業も見通しを上回る業績だった。ソニーEVP兼CFOの大根田伸行氏は「業績回復の兆しが見えた」と安堵の表情を浮かべたが、「利益自体は満足いく水準には達していない」とし、ひきつづき構造改革を進める姿勢を示した。
2006年3月期第3四半期(10〜12月)決算
※LCベースとは、円と現地通貨との間に為替変動がなかったと仮定した試算を指す
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エレクトロニクス事業の中でも、懸案とされたテレビ事業が順調だったことが大きい。BRAVIAは米国市場において金額ベースで30%、日本でも同25%のシェアを獲得した。テレビ事業全体の業績をみると、売上高は前年同期比16.2%増の3611億円と大きく伸びている。営業損益は前年同期から82億円減少して19億円の赤字となったが、これはブラウン管テレビの売り上げが予想以上に落ち込んだため。これでも当初の見込みに比べると250億円ほど改善しているといい、「回復の手ごたえを感じている」(大根田氏)とした。
大根田氏はポータブルオーディオプレイヤーの状況については「昨年に比べてシェアは伸びているが、日本での状況が予想に届いていない」と明かした
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このほかエレクトロニクス事業ではPCの「バイオ」が欧州、アジアで好調といい、DVDビデオカメラやHD(高品位映像)対応のビデオカメラなども売上増に貢献した。
ゲーム事業ではPSPが2005年12月に世界累計出荷台数が1500万台を超え、売上高が前年同期比48.3%増の4192億円となった。これは四半期として過去最高の数字だという。営業利益も同52.1%増の678億円となっている。また、持分法適用会社であるSony Ericsson Mobile Communicationsも売上高、純利益ともに四半期で過去最高を記録した。ウォークマンブランドの携帯電話「W800」の累計出荷台数が300万台を超えるなど、ヒット商品が多かったことが理由だ。
金融事業は売上高が前年同期比31.3%増の1904億円、営業利益は238.4%増の470億円となった。株式市場の好況でソニー生命の運用損益が改善したほか、契約数が伸びたことで保険料収入が増えた。
なお、ソニーでは当初、為替の平均レートを1ドル106円、1ユーロ130円と予想していたが、実際には1ドル113円、1ユーロ137円となった。このため、売上高で1469億円、営業利益で236億円の増収増益効果があったとしている。
構造改革の進捗については「予定通り」(大根田氏)としており、製造拠点の集約などで3月末までに4500人の従業員を削減する。また、ロボット事業からの撤退や、車載端末の国内事業の休止、ウォークマンなどの国内製造の終了なども明らかにしている(関連記事)。
通期予想については、売上高が9月予想値から1500億円増え、前年同期比3.4%増の7兆4000億円となる見通し。営業利益についても、当初は200億円の赤字と予想していたが、1000億円の黒字になる見込みという。また、税引前利益はソニーコミュニケーションネットワークの上場に伴って190億円の利益を得ることから、前回予想値を大きく上回る1900億円となる見込みとしている。
表2:2006年3月期の通期見通し
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