MicrosoftやYahooといった米国の大手ハイテク企業が、中国政府のインターネット検閲政策に協力的であるとの報告を受け、業を煮やした米国の一部の政治家らが、そのような中国政府への協力を規制する法の制定を目指している。
Christopher Smith下院議員(ニュージャージー州選出、共和党)は米国時間1月12日、同氏が委員長を務める米下院人権問題小委員会(U.S. House of Representatives Subcommittee on Human Rights)が2月の初旬か中旬に公聴会を開催することを明らかにした。Smithは関係者の意見聴取を行うため、米国務省、Microsoft、Yahoo、Cisco Systems、Google、さらに国際的なメディア監視機関である国境なき記者団(Reporters Without Borders)の代表者を同公聴会に招致した。
SmithはCNET News.comが行った電話インタビューの中で、この取り組みの目的は「米国企業と中国の政権との緊密な連携を断ち切るために」何ができるのかを検討し、法的な義務付けを行うべきか、あるいは、各企業の自主性に委ねるべきかを判断することにあると語った。
この動きと並行して、人権議員連盟(Congressional Human Rights Caucus)が2月1日に同様の公聴会を開催予定であることをTim Ryan下院議員(オハイオ州選出、民主党)の主席報道官を務めるRyan Keatingが明らかにした。Ryan議員はこの取り組みを指揮している。同連盟は、人権問題小委員会とは異なり、およそ30人の下院議員が監督する「非公式の」委員会で、それらの下院議員の他にも数百人の委員が所属しており、Smithもその一人だ。
現在RyanとSmithは共に、新法の策定作業を進めている。策定にあたっては、国境なき記者団や米中経済安全保障検討委員会(US-China Economic and Security Review Commission:USCC)から出された提案も参考にされると見られる。USCCは米国議会に対中政策を進言する超党派12名で構成される諮問機関だ。
パリを拠点とする国境なき記者団は今週、「圧政」国家において米国企業がメールサーバをホストすることを禁じる法律への支持を表明した。また同組織は、米国企業が他国政府から検閲の要請を受けた場合に、「民主主義」や「人権」といった言葉に対する検閲の拒否を含め、それらの要請にいかに対処すべきかについて、米国企業が共同プランを策定するよう提案した。
一方、企業側は、多国籍企業としては中国政府の命令に従わざるを得ないと、弁明した。
Googleの広報担当のDebbie Frostは「われわれが事業を行っている世界各国の政府が情報へのアクセスを制限していることについて留意しており、無論、われわれは法によってそれらに従う義務を負っている」と語った。
Frostはさらに、Googleは、中国市場に参入した時期が(他の大手ハイテク企業に比べて)遅く、ユーザーの利益や情報へのアクセスを重視している、と付け加えた。「Googleは、中国のユーザーがGoogle.com上で検索を行う際のエクスペリエンスを全く変えていない」(同氏)
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