日本AMDがインテルの独占禁止法違反などの行為によって損害を受けたとする訴訟について、12月16日東京地方裁判所にて第2回目の口頭弁論が開催された。
今回の口頭弁論にて主な争点となったのは、日本AMDが公正取引委員会に対し、インテルへの排除勧告における事実認定の基礎となった資料の提出を求めていた点だ。東京地裁は16日、AMDの申し立てを認め、公取の保有する資料の提出を求める文書送付嘱託をすると決定した。
この裁判の発端となったのは、公取が3月8日にインテルに対して実施した排除勧告だ。インテルは、公取が主張するような不法行為はなかったとしているが、勧告に対しては応諾している。
その後日本AMDは6月30日、インテルの独禁法違反による損害に対する訴訟を東京最高裁判所に、またそれ以外の営業妨害に対する訴訟を東京地裁に提起した。インテルへの請求額は両訴訟合わせて5500万ドル(日本円で約60億円)。同等の訴訟は米AMDでも米Intelを相手に6月28日提起している。
9月9日の第1回口頭弁論にてインテルはAMDに対し、排除勧告を応諾したからといって違反事実の存在を推認することは許されないとして、全面的に戦う姿勢を明らかにしていた。
今回の争点となった公取に対する文書送付嘱託の申し立てに関しては、すでにインテルとAMDの間で複数の上申書および意見書が交換されていた。その中でAMD側は、こうした送付嘱託が行われることは一般的によくあることで、速やかに実施されるべきだと主張していた。一方のインテル側は、事業者の秘密漏洩防止に万全を期すべきであり、資料提出における公取のガイドラインが適切であるとは限らないなどの理由から、この申し立てを不当としていた。
東京地裁は、これまでに提出された上申書および意見書と、16日の双方による意見陳述により、公取に対する文書送付嘱託を実施すると決定した。文書送付期限は、2006年3月17日としている。
なお、16日は東京高等裁判所においても第1回目の口頭弁論が開催された。ここでは、地方裁判所による決定を元に、公取からの資料がそろった時点で次の審議を進めることとなった。
次回の口頭弁論は、地裁が4月21日午前10時から、高裁が同日午前11時からとなっている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」