バンダイナムコホールディングスは11月24日、初めての決算発表となる2006年3月期中間決算(4〜9月期)を発表した。業績は、売上高2188億7300万円、営業利益175億4600万円となり、ナムコが売上高、営業利益ともに年初計画値を下回ったが、バンダイの業績の好調さでそれをカバーする格好となった。
まず、バンダイ(バンダイグループ連結)は売上高1346億4500万円(前年同期比11%増)、営業利益153億3200万円(前年同期比56%増)、中間純利益は56億700万円(前年同期比44.4%増)となった。
事業別に見ると、トイホビー事業で携帯型育成ゲーム機「たまごっち」が上期に全世界で580万個販売されるなど女児玩具を中心に好調な売上を伸ばしたことにより、売上高825億3900万円(前年同期比7.5%増)、営業利益83億9700万円(前年同期比54.2%増)と増収増益だった。加えて、映像音楽コンテンツ事業では、テレビ番組や映画の放映を行った「機動戦士ガンダム」シリーズなどにおいて高いグループシナジーを生かし、売上高172億8100万円(前年同期比15%増)、営業利益34億6000万円(前年同期比61.4%増)となり、大幅に業績に貢献した。
一方、ナムコは売上高850億5200万円(前年同期比3.7%増)、営業利益25億3800万円(前年同期比42.6%減)、当期純利益25億2600万円(前年同期比5.7%減)と増収減益になった。
業績低調の要因は、「アイドルマスター」や「メダルの達人」など国内業務用機器は好調だったが、国内外のアミューズメント施設運営の業績低迷が大きく影響した点にある。アミューズメント施設事業は売上高390億9400万円(前年同期比5.1%減)、営業利益22億7700万円(前年同期比42.5%減)となっている。
なお、バンダイナムコホールディングスの通期見込は売上高4700億円、営業利益442億円、当期純利益244億円。下期に大型商品が集中しているため、見込額は据え置いている。
また、バンダイナムコホールディングスの下期の戦略に関して事業別に方針を発表した。
トイホビー事業は、好評である「たまごっち」の関連グッズの販売やデータカードダスと連動を行うなど同商品のシリーズ化を進めるとともに、男児キャラクター商材の強化や海外における収益の確保を目指す。
アミューズメント施設事業では、国内・海外ともに売上が減少するなか、既存店の効率化や、ナムコが12月にリニューアルオープンする大阪・岸和田市の温浴施設「スパリゾートリバティ」のような新たな施設ビジネスへの展開を新機軸として取り上げた。
ゲームコンテンツ事業では、業務用は「マリオカート」や「鉄拳5」などの新機器を投入。この商品群による業績向上で施設運営事業のてこ入れを狙う。家庭用は下期にPS2向けソフト「テイルズオブジアビス」など大型タイトルが出る事に加え、次世代ゲーム機Xbox360向けソフト「リッジレーサー6」を投入、新型ゲーム機に対応することでマルチプラットフォーム展開を強調した。
ネットワーク事業は、グループ内リソースの有効活用を目指す。具体例として、まず2006年冬にバンダイとナムコで共同開発したiモード向け「SDガンダムRPG」を提供することを挙げた。
映像音楽コンテンツでは、映像系コンテンツから音楽系やテキスト系のコンテンツへ展開することでビジネス拡大を図る。
経営統合に際して両社の融合策・プロジェクトとして、11月にバンダイとナムコが相互間で人材公募を実施、2006年をめどに会社の枠を超えた異動をしたり、それぞれが持っている人材育成プログラムへの相互参加をする。
今後のバンダイナムコの成長には、バンダイがナムコの持っているコンテンツ・開発力をいかに有効利用するかということに加え、ナムコの抱えているコンテンツの取捨選択が欠かせない。バンダイナムコホールディングスの高須武男社長は、2006年4月に設立するゲーム開発会社バンダイナムコゲームスを「成長のための最大のキーになる」と述べた上で、昨今の開発コスト増を踏まえて、今後のゲームタイトルの絞込みによる収益構造改善に言及した。
また、来年3月に合併予定の玩具最大手タカラトミーに対しては、バンダイの上野和典社長は「先方(タカラトミー)は定番に強いので見習うべきところはある。負けないような定番モノを作りたい」と述べたうえで、「負けはしません」とコメントを付け加え、ヒット商品の出ないタカラトミーに対する余裕のほどをうかがわせた。
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