Advanced Micro Devices(AMD)は、PC向けマイクロプロセッサで30%のマーケットシェア達成を何年も前から夢見てきた。
この目標達成は容易なことではないが、現地時間14日にドイツに完成した新しい製造施設は、それに向けて一役買うことになるだろう。
ドレスデン郊外にある既存工場の隣にFab 36工場が完成したことにより、AMDのクリーンルームは面積が1万3400平方メートル増加する。既存の提携によりAMDが利用できるChartered Semiconductorの製造能力と合わせれば、2008年までに年間1億個のプロセッサを製造するのに必要なインフラの大部分が整ったことになると、AMDのシニアバイスプレジデント(ロジック/製品/技術担当)Daryl Ostranderは語る。
フル操業すれば、かなりの製造数を達成できる。少なくとも、AMDがPC市場の全セグメントに参入できるようになる。
「CharteredとFab 36でマーケットシェア30%を達成できる。われわれは強力なメーカーになったのだ」(Ostrander)
Fab 36ではおよそ1000人が働くことになる。
この業界では、チップのデザイナーが多くの注目や名声を集めるが、半導体の浮き沈みはその製造にかかっている。工場の建設にあたり、能率的な製造手法と、細部まで行き届いた「正確無比な複製」の理念を持つことが、Intelの成長を中心になって支えてきた。このことには、特にIntel会長のCraig Barrettや同社「社員番号No.3」のLes Vadaszが言及している。
逆に、AMDはチップの製造でこれまで何度もつまずいている。その結果、製品の出荷に遅れを出し、チップ不足を招き、膨大な損失を出してきた。VLSI ResearchのCEO、Dan Hutchesonによると、AMDは製造に関しては一般的に大半のチップメーカーより優れていたという。ただ同社は、大量生産に関して無敵のIntelに対抗しようとして頑張りすぎたのだという。VLSI Researchは半導体製造分野を専門にする大手調査会社の1つ。
ここ10年間のうち1度だけ、AMDではチップから回路がはがれるということがあった。だが調査をしたところ、購買担当者がある化学薬品の供給元を変更したことが原因だと分かった。理論的には同じ化学薬品でも、新しい方は原子が1つ多く、それが問題を引き起こした。
「マイクロプロセッサは最も製造が難しい製品の1つだ」(Hutcheson)
90年代後半になると、Bill Siegelなどの経営陣のもと、このような状況に変化の兆しが見え始めた。同社は現在、業界団体のSematechなどから感謝状を受けるまでになっている。
AMDが持つ製造技術上の特徴として、自動調整製造(Automated Precision Manufacturing:APM)と同社が呼ぶ手法がある。この手法を導入したことで、AMDは、ウエハ上にある大部分のチップが機能する「収益可能になる歩留まり率」と業界で呼ばれている値にまで到達できるようになった。また、APMにより、AMDは、チップの製造数を、製造中であっても需要に合わせて上下することが可能になった。
「APMにより、歩留まりの問題を迅速に特定できる。そして、問題を一度解決すれば、解決された状態を保つことができる」と、Hutchesonは述べる。
しかし、AMDの成功が確実という保証はない。工場を建設し、設備を揃えるには、10億ドル単位の費用が必要になる。Fab 36で必要な装備を揃えるために、約25億ドルの投資が2007年までに必要となると、AMDでは述べている。業界全体の停滞や製品の遅れにより、大規模な工場が負債と化す可能性は残っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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