MicrosoftとRealNetworksは米国時間11日、両社が独占禁止法訴訟で和解したことを発表した。これにより、多くの難問を抱えたMicrosoftの頭痛の種は1つ消えたことになるが、同社にはまだまだ解決すべき訴訟問題が残っている。
Microsoftにとって最も頭の痛い問題は、欧州連合(EU)が同社に対していまだに法的責任を追及していることだ。2004年3月、当時の欧州委員会(EC)競争政策担当委員だったMario Montiは、Microsoftが市場における独占的な地位を不当に行使したとして、同社に対し4億9700万ユーロ(5億9600万ドル)の制裁金を科した。
EUの独占禁止訴訟に参加している企業のうち最大の企業だったRealNetworksは、今回の和解条件に従い一連の訴訟から撤退しなければならない。しかし、RealNetworksの撤退が、Microsoftによる上訴に影響を及ぼすとは思われない。
「今回の和解は、むしろECに有利に働く。Real側は、すでに証拠を提出しており、その記録は完全な形でルクセンブルクに保管されている」と独占禁止訴訟を専門とするClifford Chanceに所属するThomas Vinje弁護士は述べた。
Vinjeは、RealNetworksが独禁法関連調査への直接関与をやめても、ECは自分たちが下した裁定に沿ってMicrosoftを引き続き厳しく追及していくだろうと予想している。「何も変わらない。ECはこれまで通り、積極的にこの問題を追及していく。唯一変わった点があるとすれば、Realの米国での独占禁止訴訟が不問に付されたことだ」と同弁護士は述べた。
EUは裁定のなかで、Microsoftに対し、他のサーバソフトウェアメーカーに重要な技術情報の詳細を公開することと、Media Player非搭載のWindowsを提供することを求めている。この裁定の狙いの一つは、RealNetworksのRealPlayerアプリケーションが、市場で公正に競争できるようにすることであった(Microsoftはルクセンブルクの第一審裁判所に対し同社に対するこれらの要求事項について上訴しているが、聴聞会の日時は決まっていない)。
11日の和解発表は、独占禁止訴訟から自身を守るためにMicrosoftが頑固に貫いてきたDivide-and-Conquer(分割統治)戦略を浮き彫りにするものだ。和解内容の詳細はケースバイケースで異なるが、どの場合においても、その根底には2つの共通点がある。その共通点とは、Microsoftが相手先企業に多額の和解金を支払っている点と、その見返りとして相手先企業が欧州での訴訟から撤退している点である。
MicrosoftはNovellとの訴訟で2004年11月、5億3600万ドルの和解に達したと発表した。このとき、和解金を受け取る代わりにNovellは欧州での訴訟から撤退している。同社がSun Microsystemsとの法的問題で19億5000万ドルの和解金を支払ったときも、AOL Time Warner(現在のTime Warner)に7億5000万ドルの和解金を支払ったときも同様の条件がついていた。MicrosoftはIBMとも和解に達している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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