今回の組織再編に対する当初の反応は、おおむね良好だ。JupiterResearchアナリストのMichael Gartenbergは、「各人の現在の仕事の内容と、それぞれの長所を考えた場合、今回の人員配置はかなり理にかなっている」と語っている。
Gartenbergによると、この組織変更がMicrosoftの戦略全体に劇的な変化をもたらすかどうかを判断するにはまだ時期尚早だという。「配役は分かったので、今度はシナリオを探り出す必要がある」(Gartenberg)
Caris & Co.のソフトウェアアナリスト/技術ストラテジストであるMark Stahlmanも、この組織再編がMicrosoftにとって理にかなったものだという点に同意する。
「Microsoftはすべてをつなぎ合わせる。技術面のこのような結びつきを管理構造にも当てはめることは、同社にとって理にかなっている」(Stahlman)
しかし、別のアナリストは、今回の変化がOfficeとWindowsの開発の連携に与える影響に疑問を投げかけた。
GartnerアナリストのMichael Silveraは、連邦政府が提起した独禁法訴訟が要因だと思われるWindows OS事業部とOffice事業部の分割に言及し、「司法省ができなかったことを、彼らがある程度だが行ったようだ。これで、WindowsとOfficeの両グループが協力することが難しくなる可能性のある分野が出てくるが、両グループはそれでも協力する必要がある」と語っている。
Silverは今回の計画がスムーズな業務進行につながるとは予想していない。「われわれは現時点でこれが業務遂行の変化につながることには懐疑的だ」(Silver)
Ozzieはこの組織再編で、同社会長のBill Gatesの指揮下に入ることになるが、そのOzzieの昇格も同社にとってサービスがどれほど重要になっているかを強調するものだ。「Microsoftは、サービスとしてのソフトウェア(配信)を、成熟するソフトウェア市場への答えの一部として捉えている」と、Directions on Microsoftの調査ディレクターであるRob Helmは言う。
Ozzieの経歴から判断すれば、同氏はこのタスクを処理する適任者といえると、Fulcrum Global PartnersアナリストのJamie Friedmanは言う。「Ray Ozzieは貴重なテクノロジー関連の人材であり、彼の役割はこれでもっと明確になるだろう。そのほうが、Rayのもつスキルセットや他の能力がよりよく活用される」(Friedman)
この組織再編でもう1つ重要な点は、一部の観測筋から将来のリーダーと目されているEric Rudderが昇格したことだ。
Rudderは新しい役職に就き、同社の技術面に関する全体戦略に取り組むことになる。直属の上司はGatesだ。現在同社のServer and Tools部門を率いるRudderは、今年中に開発ツール「Visual Studio」と「SQL Server 」データベースの新バージョンをそれぞれ出荷した後、新しいポストに就任する。
今回の組織再編でマイナスの影響が出る点があるとすれば、それは社員の志気の低下だろう。AllchinとRudderは同社を代表する技術の専門家だが、その2人が重要な指導的立場から離れることになれば、そうした影響が出るととアナリストのHelmは説明する。
「Microsoftは成熟しつつあり、そしてトップにマーケティングやセールスの人材を切実に必要としているが、しかし従業員がそういうことを聞きたがるとは思えない」(Helm)。Allchinの後任としてWindows開発の責任者となるJohnsonはギークではなく、営業畑を歩いてきた人材だ。
この組織再編で新たに発足する「Platform Products and Services」事業部の売上は、同社全体の約60%を占めることになる。また、Business事業部の売上は約28%で、Entertainment and Devices事業部の売上は約10%になる。
この日午後の同社の株価はほぼ変わらず、25.86ドルで推移していた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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