Microsoftが米国時間20日、包括的な社内組織再編を発表した。これにより同社は3つの新しい事業部に分かれ、また長年Windowsの開発トップを務めてきたJim Allchinは退社の意向を表明した。
Microsoftは今回の計画により、CEO(最高経営責任者)のSteve Ballmer直属となるプレジデントがそれぞれ率いる3大事業部制に変更される。
このうち、同社のBusiness事業部は、MicrosoftのInformation Workerグループ(Office製品ラインを担当)とBusiness Solutionsパッケージアプリケーショングループを包含し、Jeff Raikesがトップを務める。
Kevin JohnsonとJim Allchinの2人は、Windows Client、Server and Tools、MSNの各事業部を含むPlatform Products and Services事業部の共同プレジデントとなる。Microsoftによると、Allchinはこの新しい役職でWindows Vistaの開発を行い、来年末の同製品出荷後に退任するという。
ゲームや携帯端末の開発を行うEntertainment and Devices事業部のプレジデントにはRobbie Bachが就任する。
Ballmerは声明のなかで、この大型組織再編は、同社の意志決定プロセスを合理化し、製品開発能力を改善することを目指したものだと述べている。
一部の関係者や元社員からは、Microsoftがあまりに官僚的かつプロセス主導になりすぎて、Googleのような動きの素早い競合各社と競争できなくなってきた、との声が数カ月前から上がっていた。
Ballmerは同社社員に宛てた20日付けの電子メールの中で、「これらの変更を行うにあたってのわれわれの目標は、Microsoftがこの先非常に大きな成長を遂げ、ソフトウェアベースのサービス戦略を実行していくなかで、より敏捷に動けるようにすることだ」と記している。
LehmanBrothersアナリストのIsrael Hernandezによると、今回の組織再編は、将来訪れるチャンスをMicrosoftが活かすのに役立つものだという。
「これらの新しい市場の多くを彼らが独占できない理由はない」(Hernandez)
サービスが重点分野に
今回の大規模な組織再編は、Microsoftの社内ホスティング型のソフトウェアサービス(ASP)を重視する方向への意図的変化が進んでいることを示唆したものといえる。Ballmerは声明のなかで、MicrosoftはMSNグループを主力製品事業部に組み入れることにより、ASPサービスへの移行の加速を目指す、と述べている。
「MSN部門には、ソフトウェアベースのサービスを早急に刷新し、大々的に投入するための豊富な専門知識がある。そして、プラットフォームグループには、ソフトウェアプラットフォームや数百万人のユーザーに影響するユーザーエクスペリエンスの構築に関する豊富な専門知識がある」(Ballmer)
一方、Ray Ozzieはソフトウェアベースのサービス戦略拡大にも関与していく。同氏は、MicrosoftによるGroove Networks買収により、今年はじめに同社に入社し、3人いるCTO(最高技術責任者)の1人となっていた。
「Rayの技術的なリーダーシップに、ソフトウェアと、ソフトウェアベースのサービスの両方を組み合わせれば、顧客のデジタルライフスタイルや、全く新しい作業環境に関して刻々と変化するニーズによりよく対応できる大きなチャンスが生まれると思う」(Ballmerの電子メール)
情報筋によると、今回の組織再編は、MicrosoftがWal-Mart Stores元幹部のKevin Turnerを採用し、COO(最高業務執行責任者)に起用した8月から計画されていたという。
Microsoftは当時、営業トップだったJohnsonについては、Turner入社後に新しい役職に就任するとしていたが、ただし役職の具体名は明かされなかった。
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