KDDIは1月27日、2004年度の連結通期売上高が前期比2.4%増の2兆9140億円になる見通しだと発表した。同社の売上の7割、利益の9割を占めるau事業が好調なため。従来予想は2兆8990億円で、150億円上方修正した。ただし、CDMA 1X WINの拡販に伴って販売費用が増加するため、営業利益の見通しは従来予想の3090億円から2930億円(前期比0.3%増)に引き下げた。
同社はPHS事業を行うディーディーアイポケット(DDIポケット)をカーライル・グループと京セラに売却している(関連記事)。DDIポケット事業を除いた場合、通期の売上高は前期比6.2%増、営業利益は6.1%増になる見込みという。
au事業の通期見通しは、売上高が前期比13.4%増の2兆700億円、営業利益は同15.7%増の2770億円。前回予想では売上高が2兆490億円、営業利益が2930億円としていた。WINの端末拡販のために販売代理店に支払う奨励金がかさむ見通しで、販売奨励金の総額を前回予想値の4280億円から4450億円に引き上げている。販売台数1台あたりの奨励金は平均で3万8000円となる見込みだ。
KDDI代表取締役社長 小野寺正氏 |
ARPU(契約件数あたりの平均単価)については、7170円と過去最低水準を見込む。特に音声ARPUの落ち込みが昨年11月以降激しいといい、「道路交通法の一部改正で運転中の使用が禁止された影響が出ているのではないか」(KDDI代表取締役社長の小野寺正氏)とした。ただし、CDMA 1X WINのARPUは2004年第3四半期で1万570円と高いことから、「WINユーザーが増えれば、まだARPU改善の余地がある」(同氏)と期待を寄せた。
WINの契約者数は2004年12月末に200万件を突破しており、データ定額制の契約率は79%と高い。同社では2005年3月末におけるWIN契約者数を320万件と予測している。
固定通信事業のBBC&ソリューション事業については、売上高が前期比6.4%減の5080億円、営業利益は前期比244億円減となり80億円の赤字になる見通し。「法人向け事業の減収が続いている」(同氏)。今後はKDDIが都市部の大口顧客を担当し、地方や中小企業は2004年11月に設立した子会社のKDDIネットワーク&ソリューションズが担当することで営業効率を高めるとしている。
ツーカー事業は、売上高が前期比15.7%減の2330億円、営業利益が同4.0%増の160億円となる見通し。液晶画面のない「ツーカーS」が好調で、2004年11月以降契約者数が伸びている。「ツーカーSの契約者のほぼ全員が60歳以上のシニア層だ。新しい顧客層を開拓できている」(同氏)と自信を見せた。
ソフトバンクがKDDIにツーカー事業の買収を打診したと報じられた件については、「ツーカー関西に第三者割当増資を行って債務超過を解消する計画だ。すぐに売却しなければいけないという状態ではない」(同氏)と述べるにとどめた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」