欧州連合は現地時間22日、Microsoftに対し、Windows Serverのプロトコルをライセンス供与しなくてはならない、との裁定を下したが、競合各社は今のところ、このようなプログラムにあまり関心を示していない。
Microsoftは今後、Windows Media Playerを搭載しないWindows OSをリリースするほか、Windows Server OSの特定のプロトコルをライバル各社に公開しなければならない。この裁定の意図は、両市場において公平な競争を促すことにある。
MicrosoftのBrad Smith(シニアバイスプレジデント兼法律顧問)によると、このEUの裁定により、MicrosoftはWindows Server関連を中心に、これまで以上の技術情報公開を余儀なくされることになるという。同社は、新しいサーバプロトコル技術の詳細や料金などの各種条件を公開するウェブサイトを設置するつもりだ、とSmithは述べた。
Smithは米国時間22日、「欧州委員会の裁定には通信プロトコルの新分野も含まれている。この裁定はわれわれに対し、これらのプロトコルを競合サーバソフトにも実装できるよう、それを公開してライセンス供与するよう義務づけている」と報道陣に対して語った。
Microsoft対米司法省の独禁法訴訟では、同社はデスクトップPCとサーバが通信する際のWindowsクライアントプロトコルの公開を余儀なくされた。その結果、同社が実施したMicrosoft Communications Protocol Programというライセンスプログラムには、Sun MicrosystemsやAOLを含む約20社が既に参加している。
欧州委員会はMicrosoftに対し、サーバに保存されたファイルの共有、プリンタの共有、ネットワークへのユーザーアクセスの認証などのタスクに対応するプロトコルをライセンス供与するよう命じている。
Microsoftと競合する一部のベンダーは、新たに裁定に追加されたプロトコルについては検討を進めるが、ライセンスに関する判断にはもっと時間がかかる、と語っている。
LinuxのディストリビューションとNetWare OSを保有するNovellは、欧州委員会による裁定を強制する今回の判断を高く評価している。
「Novellは改善策の実施に高い関心があることを明確にしてきており、それがワークグループサーバ市場に参入するNovellなどのベンダー各社のメリットになると考えている」とNovellの広報担当は語った。
しかしNovellは、2002年の米独禁法訴訟の和解合意から施行された、Microsoftの既存のプロトコルライセンスプログラムには参加していない。
Novellは声明のなかで、「米国での裁判の結果公開されたプロトコルは、Novellにとってそれほど有益なものではなく、それを取得するために非常に制限の多いライセンス条件や不当なライセンス費用を受け入れることはできない」と述べている。
同様に、Computer Associates International(CA)でも新しいライセンスプログラムについて検討を進めるが、これが取得に値するかどうかはまだ判断がついていないと述べている。
IBMは、上訴の可能性が残っていることを理由に、EUの裁定に関するコメントを控えた。
オープンソースのファイル/プリントサーバ、Sambaの共同開発者であるJeremy Allisonは、新しいライセンススキームがUnix /LinuxサーバでWindowsサーバと同様のファイル共有を可能にするSambaにも大きなメリットをもたらすことから、この新スキームに興味を持っていると述べた。しかし、新スキームはMicrosoftの現行のライセンスプログラムと大きく異なるものにならないと役には立たないと、同氏は注意を促した。
Allisonによると、米国内では、Microsoftはプロトコルのライセンス取得者に対して、この技術を搭載して出荷されるソフトウェアの1コピー毎に料金を課しているという。しかし、このロイヤリティ徴収方法には、Sambaが採用しているGeneral Public License (GPL) との互換性がないため、Microsoftが自社のプロトコルに関するドキュメントを、一定の金額を支払った特定のグループが自由に見られるようにすることを期待していると述べた。
Linuxベンダー最大手のRed Hatは、EUの裁定が独占的な慣行を是正するよう考えられていることから、これを前向きに評価すると述べた。しかし、同社はMicrosoftのサーバプロトコルついてライセンスを取得する計画はないと、同社広報担当は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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