カリフォルニア州のある企業の破産整理手続きでまもなく競売にかけられる数十件のWebサービス関連特許の行方について、シリコンバレーの複数の大企業が神経質になっている。
GoogleやOracle、Sun Microsystems、そのほか数十社の企業の代表者らは今週、非営利団体CommerceNetが主催した会議に出席し、特許の売却や新しい特許権者から訴訟を起こされる可能性について意見交換した。
会議に出席した企業各社は、米国時間12月6日の競売に共同入札することについても協議した。CommerceNetは、自らが寄付金をまとめて入札に参加することを申し出た。もし入札に成功した場合、CommerceNetは特許権を放棄する。また入札に失敗した場合は寄付金を企業に返還する。
CommerceNetで最高財務責任者(CFO)兼最高業務責任者(COO)を務めるCraig Smithは、「恐喝を未然に防ごうと事前に口止め料を支払うのに似ている」と語った。
競売にかけられるのは、ソフトウェアベンダCommerce One(本社:カリフォルニア州サンタクララ)が保有する特許39件。破産手続きを進める同社は現在、資産の清算を行っている。同社が保有する特許には、インターネットでビジネス文書を交換する際によく使われる手法の基礎となっている技術プロトコルも含まれる。
Webサービスと呼ばれるこのプロトコルは、現在幅広く普及している。Smithによると、今週の会議に参加した企業各社やMicrosoft、IBMはこの技術をソフトウェア製品や社内システムに取り入れている可能性が高いという。特許の適用範囲があまりにも広過ぎるため、特許権者が権利を主張できなかったり、権利を主張したとしても相手から異議を申し立てられて特許が無効になる可能性もある。しかし、それでも多くの企業が、特許の行方について神経質になっている。
電子フロンティア財団(EFF)の弁護士Jason Schultzは、「新しい特許権者が権利を積極的に活用し、Webサービス業界全体に特許料の支払いを要求してくる心配がある」と語っている。Schultzは、CommerceNetが提案した共同入札の実現を支援している。
ハイテク業界では、特許が「思惑買い」されることに対して警戒心を強めている。発明や創案に全く関与していないにも関わらず、他企業をつかまえて特許侵害訴訟を起こし金儲けをしようとする行為は、革新的な企業の労に報いることを目的とした特許法の精神に反すると批判する人もいる。このような投資を活動を専門にする企業には、Microsoft元幹部のNathan Myhrvoldが設立したIntellectual Venturesなどがある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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