ソフトバンク、単月営業利益黒字化を達成

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年11月10日 21時41分

 ソフトバンクは11月10日、2004年度の連結中間決算を発表した。営業損失は67億円と前年同期に比べて大幅に赤字幅を縮小させ、目標としていた連結営業損益の単月黒字化を9月に達成した。

  中間期の売上高は前年同期比34.7%増の3037億円、営業損益は同325億円改善し67億円の赤字、経常損益は同277億円改善し259億円の赤字、当期純損益は同712億円改善し60億円の赤字となった。

  単月の営業損益黒字化を達成した要因としては、イー・トレード証券などのイーファイナンス事業やヤフーなどのインターネット・カルチャー事業が好調だったこと、Yahoo! BBの顧客獲得コストが下がったことなどが挙げられるという。ただし顧客獲得コストの低減については、「市場が飽和してきたことで加入者数自体が減ってきたことも一因」(同社)としている。

  事業別の業績をみると、Yahoo! BBなどのブロードバンド・インフラ事業の売上高は前年同期比79%増の959億円、営業損益は同149億円改善し346億円の赤字となった。Yahoo! BBの1ユーザー当たりの平均収入(ARPU)は第2四半期に4190円となり、順調に伸びているという。これは26Mbps以上のサービスや無線LANを利用するユーザーが増加したため。また、10月から課金を開始したBBセキュリティ(シマンテックと共同で提供するセキュリティサービス)の有料ライセンス数が約16万件になるなど、有料サービスもARPUの向上につながっている。

  イーファイナンス事業の売上高は前年同期比108%増の307億円、営業利益は同775%増の71億円と大幅に成長した。ワールド日栄証券の子会社化に伴い売上高が増加したこと、イー・トレード証券の委託手数料や収益の増加が貢献した。

  インターネット・カルチャー事業の売上高は前年同期比57%増の437億円、営業利益は同57%増の221億円となった。猛暑による飲料業界の特需などがあり、広告売上が過去最高を記録したという。

「『おとくライン』は非常に儲かるサービス」

ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏

  今後は日本テレコムが12月にサービスを開始する予定の直収型電話サービス「おとくライン」の設備投資や顧客獲得コストがかさむことから、再び単月の営業損益が赤字に転落する見込み。ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、2005年中には「おとくライン」事業を軌道に乗せ、再び単月黒字化を達成したいと話す。

  「『おとくライン』は法人向けの基本料が見込め、個人向けにはNTTに支払う接続料が減らせる。非常に儲かるサービスだ。特に法人向けの回線契約をとれるかが鍵になる」(同氏)。すでに申し込みを受け付けており、同氏によると「1日あたりの顧客獲得数はADSLサービスを大幅に上回っている」という。

  10月に開始したFTTHサービス「Yahoo! BB 光」については、「現在は助走段階」(孫氏)と慎重な姿勢だ。「ADSLサービスの反省もある。受け入れ態勢が整う前に過激な営業で顧客に迷惑をかけてはいけない」(同氏)。サポート体制や機器の在庫などを確保したうえで、2005年春に本格的な営業活動を始める方針だ。

  「Yahoo! BB 光」のサービスの目玉となっているのが、テレビ番組の視聴サービスだ。PCで地上波テレビ放送の視聴や録画が簡単に行える無線TVパックを提供するほか、VODサービスなどが利用できるBBTVの販売も積極的に行う。「Yahoo! BB 光にはBBTVをほとんど取り付ける営業体制をとる」(孫氏)。新規参入を狙うプロ野球の生中継なども提供することで、魅力を高めたいとしている(関連記事)。

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