ソフトバンクは10月18日、経営再建を進めるダイエーから福岡ダイエーホークスを買収してプロ野球に参入する考えを正式に表明した。本拠地は福岡のまま、来期からの参入を目指す方針だ。ただし、球団の買収はダイエー本体の支援を行う企業が合意することが前提。野球協定では新規参入企業が11月30日までに実行委員会やオーナー会議の了承を得る必要があり、来期に参入できるかは不透明な情勢だ。
プロ野球に参入することのメリットについて、同社は消費者の認知度や企業イメージの向上、ブロードバンドコンテンツの強化を挙げる。インターネットを通じた試合放送や、ヤフーでのチケット・グッズ販売などによって収益を上げる考えだ。
「(球団の財政を)縮小均衡する気はまったくない。スタープレーヤーのいる、わくわくする球団にしたほうがいい。チケットがPCや携帯電話から買えたり、インターネットを通じてファンと選手の交流ができたりといったように、新しいやり方を取り入れて拡大均衡できるようにしたい。将来的にはメジャーリーグの優勝チームや台湾、韓国、キューバなどのチームと日本のプロ野球の優勝チームが決戦して、サッカーのW杯のようなものができたら楽しいのではないか」(孫氏)
孫氏によるとソフトバンクは2002年頃から球団の経営に関心を持ち、関係者への打診を行っていたという。「楽天やライブドアがプロ野球への新規参加することを見てあわてて手を挙げたわけではない」(同氏)。孫氏が九州で生まれ育ったこと、福岡県でソフトバンクを創業したことなどから特に福岡ダイエーホークスの保有にこだわりを見せており、ダイエーがコロニー・キャピタルグループに福岡ドームなどを売却した際にも、「コロニーとは別に買収を希望していた企業に対して、ダイエーがもし球団を手放すのであればぜひ球団を保有したいと伝えていた」として、数年来温めていた構想であったことを明らかにした。
同日午前には福岡県知事の麻生渡氏や地元財界の有力者である九州電力代表取締役会長の鎌田迪貞氏などに会い、球団買収の意欲を伝えている。今後はダイエーの再建支援を行う産業再生機構や日本プロフェッショナル野球組織(NPB)、福岡ドームを保有するコロニー・キャピタルなどとの話し合いを進めていく。コロニーから福岡ドームなどの事業を買収することについても「方法論としてありえないことはない」と否定しなかった。
ソフトバンクは現在、子会社のソフトバンクBBとヤフーがグリーンスタジアム神戸球場の命名権を取得し、Yahoo! BBスタジアムという名称にしている。命名権の期限は来年3月で切れる予定。更新の有無については、「二股をかけることは両者に迷惑をかけると考えているが、現時点で断定はできない」(孫氏)と言葉を濁した。
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