楽天は27日、あおぞら銀行とオリックス・クレジット、オリックスの合弁会社であるあおぞらカードを買収することで基本合意に達したと発表した。買収金額は74億円で、9月末にクロージングする予定。楽天が100%株主となる予定だが、あおぞら銀行とオリックスはそれぞれ10%までの株式再取得権を保有する。
あおぞらカードは、2001年12月に設立された一般消費者向け無担保ローン(パーソナルファイナンス)事業を行う企業。中高所得者層を対象にサービスを展開しており、無店舗営業によるローコストオペレーションや、インターネットを主体とする効率的なマーケティングを行っていることが特徴だ。2004年3月末現在の貸出残高は197億円で、貸出金利は8.7%〜17.8%となっている。
楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏 |
楽天では、パーソナルファイナンスについて「インターネットを通じた借入申し込みのニーズが高く、借入の目的としてショッピング・旅行を挙げる利用者が多い」と分析、同社の手掛けるサービスとの親和性が高いと認識したうえで、2003年12月にパーソナルファイナンス事業準備室を設置した。今回の買収は、この流れに基づくものである。
楽天は、2003年12月にインターネット専門の証券会社である楽天証券(旧DLJディレクトSFG証券)を買収したほか、今年8月からは三井住友カードとの提携で「楽天カード」を発行するなど、金融事業を積極的に拡大してきた。今回のパーソナルファイナンス事業の買収で、楽天グループの会員のべ2800万人の中の優良顧客層をターゲットとしたカードローン事業を展開する。また同社では、楽天市場や楽天トラベル、楽天証券などから派生する決済金融についても大きな事業機会となることを見込んでいる。
楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、「あおぞらカードを楽天グループに迎えることで、今後の金融事業カンパニーの核となる3事業がそろった。2004年4-6月期の金融事業カンパニーの営業収益は35億2900万円だが、同事業の獲得でさらなる業績向上をめざすことができる」と述べている。
クレジットカード(楽天カード)事業と、今回の買収で手に入れるカードローン事業の位置づけの違いについては、「(三井住友カードとの提携による)楽天カードは、ポイント還元の認知度を上げるとともに、決済サービスを充実させるためのもの。これにより、楽天グループ流通総額の拡大をねらう。カードローン事業はあくまでも自社運営で、残高・収益を拡大させるためのものだ」(三木谷氏)としている。
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