カリフォルニア州パロアルト発--火星の地質を見るかぎり、この星にはかつて水が存在していたようだ。
Jet Propulsion Laboratoryの科学者、Robert Deniseは、広大な砂地とともに、主に水と関係が深い鉱物の1つである赤鉄鉱の1種が存在することから、火星には過去に水があったと考えられると語った。DeniseはMars Roverプログラムの宇宙飛行開発ソフトウェアチームのメンバーで、今週スタンフォード大学で開催中のHot Chipsカンファレンスに参加している。
Deniseは、このデータを昨年の開始以来今も続くMars Roverの探査活動から入手したとした上で、このミッションが大成功を収めていると付け加えた。SpiritとOpportunityの2台の探査用車輌は、90ソル(ソルは火星の1日で24時間40分に相当)かけて、それぞれ約60メートルを移動するはずだった。しかし、2つともすでに火星上に180ソル以上滞在しており、移動距離は3.2キロメートルに達しているという。
昨年4月に移動を開始した探査車輌は現在、火星の厳しい冬を越えようとしている。同プログラムへの資金提供も、新たな延長が無ければ、9月13日で終了する予定だ。これは、火星が太陽の反対側に入って連絡が難しくなる時期と重なる。だが、技術的にはミッションを継続できる可能性が高い。
「両探査車輌が今後どうなるのかは分からない。9月を乗り切れば気候も暖かくなっていく。2つとも、設定した達成基準を何度も越えてきた」(Denise)
土壌中の水の形跡は、主に演繹的推論に基づいている。地球上の赤鉄鉱は一般的には水の近くで形成される。この鉱物は火山噴火によっても形成されるが、このようなタイプの赤鉄鉱には同心円の模様が現れる。しかし、Opportunityが発掘したこの鉱物のブルーベリーの形をした岩塊の画像には、同心円の模様が現れていない。「これで、赤鉄鉱の岩塊が水によって形成された、という考え方の信憑性が高まる」(Denise)
同じく、岩石の存在も火星に水があったことを示す証拠と考えられる。火星は、地球の月や水星のように、太陽系形成期に座礁した流星や彗星によってできたクレーターでこぼこになっている。このような宇宙のゴミが衝突すると、その衝撃によって丸い岩石のパターンが残る。
火星の表面の大半は岩場だ。1976年のViking着陸船も、1997年に着陸した探査車輌Marsも、このような岩場に着陸した。
Opportunityはある岩の上に薄く広がった砂地に着陸した。Deniseによると、このことについては2つの仮説が考えられるという。その1つは彗星が衝突しなかった例外的な場所に降り立ったというものだが、しかし彗星は落ちる場所を選んだりはしないため、この可能性はありそうもないと同氏はいう。
そこで、こうした砂地がかつては水に覆われていたという考えが浮上する。この砂地は非常に柔らかく砂が多い。探査車輌がこのなかを進んでいくと、1センチ程度の大きさの小石が沈み込んで見えなくなる。地球に衝突した彗星--そのなかには、いったん火星にぶつかった後リバウンドしてから来たものもある--の証拠は、ほとんどが海によって洗い流されてしまった。
「火星のこの地点がかつて塩分の強い海に覆われていた、という仮説が有力だ」(Denise)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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