「第2四半期のグループ流通総額は770億3000万円となり、前年同期比162.4%増と大きく伸びている。このままいけば、年末には目標とする“年額1兆円規模”の半分にはなるのではないか」---楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は8月19日、2004年度第2四半期(2004年4月〜6月)の連結決算について説明し、業績の好調ぶりをアピールした。また、個人向けローンへの参入意向を明らかにした。
同社の第2四半期の業績は主力のEC事業や昨年買収した金融事業などが好調で、売上高は前年同期比162.9%増の108億3300万円、営業利益は同256.9%増の37億6600万円、経常利益は同302.2%増の38億800万円。営業利益率は34.8%となった。ただし中国で航空券予約事業などを行うCtrip.com Internationalへの出資に伴う持分法投資損失などを計上したため、当期純損益は90億6700万円の赤字となっている。
事業別の業績を見ると、楽天市場などのEC事業の売上高が前年同期比79.0%増の47億6000万円、営業利益が同88.7%増の15億8000万円、営業利益率は33.3%となった。EC事業における流通総額は同74.0%増の494億6000万円、注文件数は同75.6%増の388万6000件となり、引き続き高い増加ペースを維持している。
楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏 |
この点について三木谷氏は「これまでは出店者に対するサービス拡充を中心に行ってきたが、最近は購入者へのサービスに力を入れている。具体的には非会員向けに初心者用のわかりやすいページを表示したことや、ポイントサービスを強化したことが功を奏した」と分析した。また、新規出店数が加速しており、退店数も減少しているといい、第2四半期の新規出店は1109店舗、退店は431店舗だった。
利率10%台の個人ローンに参入
金融事業は売上高が35億2000万円、営業利益は15億円、営業利益率は42.7%。7月に社名をDLJディレクトSFG証券から楽天証券に変更したことで新規口座申込件数が伸びているといい、7月のウェブ経由申込書請求件数は約1万2000件と前月の約7000件から急増している。
三木谷氏は金融事業の今後の展開について、個人向けローン事業への参入を検討していることを明らかにした。利率は10%台となる見込み。参入方法については「ローン事業の経験者の採用を進めており、時間をかければ自前で展開することも可能」としながらも、「M&Aの可能性もある」と話す。具体的な交渉の有無や参入時期については明らかにしていない。
「冬ソナ」ブームでショウタイムの業績が好調
ポータル・メディア事業は売上高が前年同期比8.9%増の13億1000万円、営業利益が同45.9%増の1億6000万円、営業利益率は12.8%となった。なかでも三木谷氏が「秘蔵っ子」と呼ぶのが、有線ブロードネットワークスと共同で運営するショウタイムだ。月額294円でストリーミング映像などが楽しめるShowTimeを提供しており、「冬のソナタ」など韓国ドラマの配信が好調で、2003年12月に黒字化。現在の有料会員数は30万人弱という。
トラベル・エンターテインメント事業は売上高が前年同期比329.5%増の14億3000万円、営業利益は4億5000万円、営業利益率は32.0%。買収したマイトリップ・ネットの旅の窓口と楽天トラベルの会員データベースを統合するため、8月2日から移行キャンペーンを行っているが、開始後2週間で約60%が楽天会員に移行したという。これにより、楽天会員の登録者数が日次ベースで倍増しているとのことだ。なお、旅の窓口と楽天トラベルは9月14日に統合するが、情報システムは旅の窓口のシステムを利用するとしている。
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