Microsoftは7月26日、Windows XPのOEMライセンスが拘束条件付き取引にあたるとして公正取引委員会から7月13日に受けた勧告を応諾しないことを発表した。26日に公正取引委員会に返答を持参して表明した。
公正取引委員会は、MicrosoftがWindows XPのOEM提供にあたり非係争条項(non-assertion of patents provision:NAP条項)を半ば強制的にOEMベンダーに適用していたとして勧告を行った。これに対して、Microsoftは「当該契約形態において、独占禁止法に抵触するような事実は無いと考えており、本勧告に対し応諾しないことを決定」(Microsoft)した。MicrosoftからOSの提供を受ける契約形態としてはOEM契約とシステムビルダー契約の2種類があり、システムビルダー契約にはNAP条項が存在しないが、価格的条件や情報提供などの面でOEMが有利なため、国内ベンダーは2例をのぞきOEM契約を結んでいる。
13日に行われた勧告では、Microsoftに対し、(1)国内PCベンダーとの間で締結されている現行のOEM契約書の非係争条項に関する規定を破棄すること、(2)過去に国内PCベンダーとの間で締結した契約書のうち、契約終了後も存続する非係争条項に関する規定を破棄すること、(3)国内OEMベンダーに対し、非係争条項を破棄することと今後特許侵害を理由とする訴訟を提起することをWindowsのOEMライセンス契約によって妨げないことを書面で通知すること、(4)Windowsのライセンス供与にあたり、今後いかなる方法によっても特許侵害を理由とする提訴を妨げないことの4点が求められていた。
Microsoftとしては、勧告を受諾するとLonghornの開発前提となる既存知財の安全性が崩れる可能性があるため、受諾するという選択肢は事実上存在しなかったものと考えられる。現行のWindows XPを対象としたOEMライセンスでは、Windows XPの出荷停止後3年間が経過するまでの期間にわたり非係争条項が有効。また、Windows XPの機能がLonghornに継承された場合には、Longhornの出荷停止後3年間が経過するまではOEMベンダーはその技術や機能を対象とした訴訟を提起できない。なお、Microsoftは今年2月にOEMライセンスの改変を決定しており、2004年8月1日から2005年7月31日を対象とする契約以降にはNAP条項は盛り込まれない。
Microsoftが勧告を応諾しない回答を行ったことにより、独占禁止法に基づく審判手続きが開始される。Microsoftは「審判手続の場において、当社の考え方について改めて説明し、理解を得るべく協議を続けていく予定」としている。
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