Boston MicroSystemsという米国の新興企業が、摂氏0度から1100度まで温度をすぐに変えられる、人間の髪の毛よりも薄いチップを開発した。将来科学者がこの発明を応用して、化学反応を間近で観察できるようになるかもしれない。
同社の共同設業者の1人で会長を務めるRick Mlcakによると、同社のマイクロホットプレートは平均サイズが100ミクロン四方で、既存の発熱ユニットよりはるかに高速に高温に達する上、頑丈で故障しにくいという。
このユニットは、金星の表面温度に相当する摂氏1100度に達するのにわずか1000分の1秒しかかからない。このように急速に高温に達することができる秘訣は、ユニットが小さいことや使用している素材の種類、プレートの設計などにあるという。
研究者らはこのユニットを用いて、現状では起こしにくい化学反応を研究できるようになるかもしれない。たとえば半導体設計者は現在、チャンバ内のウエハを摂氏数百度に加熱し金属を蒸発させた上でウエハに薬品を重ね、チャンバを冷却して金属を接着するという方法を取っているが、この加熱・冷却プロセスには長い時間がかかることもある。
Boston MicroSystemsのホットプレートでは、ウエハの一部の加熱・冷却を一段と急速に行なえるので、研究者はより多くの相互作用を生じさせ、研究することができるだろう。また同様に、研究者は物質を加熱しながら、高精度顕微鏡で変化の様子を観察することも可能になる。
同社の技術のユニークな点は、シリコンカーバイドの一片からチップを切り出しているところだ。加熱コイルと呼ばれる小さな管は、プリントプロセスでチップの中央からくり貫かれる。このコイルは、日本の焼肉屋のテーブルの中央に置かれた鉄板のように、チップの表面のすぐ下にある。加熱エリアは、同じくウエハの一部である4つの足で支えられている。
「ホットプレートの表面自体も元のウエハからできている」(Mlcak)
シリコンカーバイドは高温で安定するだけでなく、多くの物質との科学反応が起きにくいという特徴もある。この特徴は、表面のごみを燃やすだけでホットプレートを掃除できるという便利なおまけとなっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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