マイクロソフトが北海道のIT産業振興のために一肌脱ぐ。
マイクロソフトは6月29日、北海道と共同で、ITベンチャー企業に対する支援とIT人材の育成を行うと発表した。同社のソフトウェアやサポート、トレーニング等を無償でベンチャー企業に提供するとともに、道立の高等技術専門学院などに対してマイクロソフトの教育カリキュラムを提供する。
記者会見は北海道会場と東京会場を中継でつないで行われた |
ITベンチャー企業支援は、北海道のほか札幌市、北海道ソフトウェア技術開発機構の3者と共同で行う。プロジェクト名は「フロンティアベンチャー育成プロジェクトwithマイクロソフト」。北海道に本社・本店を置くIT関連ベンチャーを対象に、1年間支援を行う。企業数は開始後1年間で5社程度となる予定で、7月1日から募集を開始する。マイクロソフトはソフトウェア等の提供のほか、ビジネスモデルの構築やマーケティングに関する支援も行うとしている。
IT人材育成プロジェクトの名称は「高等技術専門学院IT人材育成プロジェクト(通称:ステラプロジェクト)。ステラはラテン語で星という意味で、「学生がIT産業界で活躍することを星に例えた」(北海道知事の高橋はるみ氏)という。このプロジェクトでは道立高等技術専門学院と北海道障害者職業能力開発校の全12校において行われ、学生と指導員がマイクロソフトのIT資格を取得するよう支援する。期間は3年間で、学生は計710名、指導員は計53名を対象とする。
マイクロソフトが地方自治体と共同でITベンチャー企業の支援を行うのは、2003年10月に発表した岐阜県などに次ぐ4例目となる。米Microsoft最高経営責任者(CEO)のスティーブ・バルマー氏は「ベンチャー企業に技術や活躍の場を提供することで、強力なハイテク産業を育成したい」と話す。IT人材育成プロジェクトについては世界でも例のない取り組みだといい、「人材への投資はIT産業を活力あるものに育てるために重要だ」(バルマー)と訴えた。
北海道では道庁がオープンソースを積極的に導入すると表明するなど、オープンソースの採用が進んでいる。今回マイクロソフトの支援を受けることについて高橋氏は、「Linuxを初めとしたオープンソースソフトウェアの支援も行っているが、ユーザーのニーズも多様化しており、どちらか一方だけでIT産業の振興を行うことは難しい。マイクロソフトのユーザーも多く、同社とコラボレーションを進めるのは大きなメリットがある」と話す。
覚書に調印したTablet PCを見せるマイクロソフトのマイケル・ローディング氏 |
公立の学校が私企業の資格に関する教育を行うことについても、「北海道の雇用状況は全国に比べても非常に厳しい。多様な分野で活躍する人材を少しでも多く育成することが不可欠であり、他の企業の要請があれば受けたい」(高橋氏)とした。
同日開催された記者会見は、高橋氏のいる北海道会場とバルマー氏などがいる東京会場を中継でつないで行われた。会場では高橋氏とマイクロソフト代表執行役社長兼Microsoft コーポレートバイスプレジデントのマイケル・ローディング氏が、Tablet PCを利用して覚書に調印する一幕もあった。
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