マイクロソフトは16日、岐阜県および同県がIT産業育成のために設置した財団法人、ソフトピアジャパンと合同でベンチャー企業を育成することで合意に達したと発表した。マイクロソフト代表取締役社長のマイケル・ローディング氏は、「わが社も27年前に小さなベンチャー企業としてはじまった会社だ。その後現在のような大企業に育っていくなかで、これまでにも多くのベンチャー企業とパートナー関係を結んできが、生まれたばかりのベンチャーをサポートする機会はなかった。今回このような合意に至ったことは、マイクロソフトにとっていい刺激となるとともに、IT業界のリーディングカンパニーとして非常に重要なことだ」と語った。
今回の合意は、岐阜県とソフトピアジャパンが推進する「パワーベンチャー育成事業」にマイクロソフトが賛同したもの。パワーベンチャー育成事業とは、国や県のベンチャー育成支援プログラムに民間企業などからの支援を加えた総合的プログラムで、ソフトピアジャパンの施設内にて有望ベンチャー企業を育てようというものだ。今回の3者の合意で、岐阜県はパワーベンチャー育成事業への参加機関の募集と選定を行い、ソフトピアジャパンは事業全般の運営とマネジメントを担当、そしてマイクロソフトは対象ベンチャーに対して年間最大500万円分の同社製品を無償で提供、技術サポートやトレーニングなども行うとともにマーケティング支援も実施する。
左から、マイクロソフト社長のマイケル・ローディング氏、岐阜県知事の梶原拓氏、ソフトピアジャパン理事長の熊坂賢次氏 | |
マイクロソフトは昨年9月、ソフトピアジャパン内に技術開発施設を設置、これが同社と岐阜県の出会いとなった。その後今年8月に、同社が岐阜県との共同事業としてインキュベーションプログラムを提案したのだという。岐阜県知事の梶原拓氏は、「マイクロソフトのような世界の大企業と、われわれのような小さな地域との協定は、まるで恐竜と田舎の蛙が手を組んだようなもので非常に画期的だ。日本ではすべてが東京に集中してしまっているが、今回の事業で“岐阜モデル”と呼ばれるような成果を出すことができれば、東京以外の各地域にも大きなインパクトを与えることができる。われわれにはその責任があると感じている」と語った。
応募可能なベンチャーは、マイクロソフト製品を活用した製品開発を行う創業後8年未満の中小企業で、ソフトピアジャパンおよびその関連施設であるテクノプラザに現在入居しているか、3カ月以内に入居可能な者。10月末から募集を開始し、一次審査を経て12月9日にプレゼンテーションを含む最終審査が行われる。マイクロソフトとのプログラムの下で選ばれる企業は数社のみだが、岐阜県では他民間企業とも共同で支援プログラムを実施している。
どのような企業に興味があるかとの問いにローディング氏は、「現在業界標準になりつつあるXMLベースのWebサービス関連企業や、今後さらに発展が見込まれる組み込みシステムの開発企業など。特に組み込み系は現在各社が独自のものを開発しているが、ユビキタス社会に向けてそれらをすべてネットワーク化できるような企業に期待している」と語った。
なお、今回支援するベンチャーに対して直接マイクロソフトから投資を行うことは、現在のところ考えていないとローディング氏。「出資に関しては、ファイナンスの専門機関に任せたい。ベンチャー企業が成功するには、正しいアイデアを持つこと、人材をうまく育てること、成功するためのビジネスモデルを持つことが重要だ。われわれはこの部分へのアプローチを考えている」(ローディング氏)。マイクロソフトとしては「地域発展とベンチャー企業育成のために社会貢献を行う」という立場のようだ。
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