今年の大量解雇で失業した労働者のうち、「業務の海外アウトソーシング」が原因で失業した人はほんの少数であったという調査結果を、米労働省が10日(米国時間)に発表した。
米労働省によると、第1四半期の間に民間企業の非農業従事者4633人が、海外アウトソーシングが原因で少なくとも31日間分の職を失ったという。これは、解雇された労働者総計23万9361人のうち、2%にも満たない数値であるという。
技術関連をはじめとする各種の仕事を海外に移転することについては、これまでも激しい論争が展開されてきた。反対派は米国経済の未来に対する脅威だと激しく批判し、賛成派はこれを健全な発展だと擁護する。今回の調査結果を受けて、論争が一層盛んになりそうだ。これまでは、海外アウトソーシングをめぐる大半の議論は各種推定値に基づいて行われてきた。今後11年間で340万人分の職が海外に移転されるというForrester Researchの予測もその一例だ。
今回の報告書は、失業保険の請求データなど、直近の情報を基に作成されている。しかし、調査結果は厳密にいうと正確ではない。この統計に含まれる対象者が、従業員数50名以上の会社を解雇され、5週間のうちに同じ会社を解雇された人が50名以上失業保険を申請しており、かつ失業状態が30日以上続いた人に限定されているからだ。
仕事を海外に移転することについて米国内の不安が高まっていることを受け、労働省は今年の1月から、仕事の海外移転を調査テーマに加えた。
プログラミングやそのほかの技術的な業務を海外に移転することは、米国教育システムの問題や研究開発投資の減少などの問題と絡み、最終的には米国の技術的な優位性が低下するのではないかと懸念されている。
しかし、IT業界のリーダーたちは、賃金の安い諸外国に仕事を移転することは米国経済にとって有益であり、保護主義的な措置を講じることは経済成長率の低迷と失業率拡大の原因になると反論している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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