カリフォルニア州サンノゼ発ーHewlett-Packard(HP)の最高経営責任者(CEO)Carly Fiorinaは、向こう数年間についての楽観的な収益予測を発表した。同社は、顧客のポケットのさらに奥まで手を突っ込み、新しい市場に手を広げようとしている。
Fiorinaは8日(米国時間)、当地で行われたHPの証券アナリスト向け会議で「今年および今後2年間に、わが社は1株当たり利益を20%以上拡大していけると強く信じている」と述べた。
HPには、競合製品の積極的な値下げもいとわない数多くのライバルがいる。PCやプリンタ、サーバの各分野では、Dellの販売力に対抗しなければならない。より複合的な商品の分野、例えば顧客が自社に新技術を適合させるのを支援するサービスの分野では、IBMおよび(IBMほどの脅威ではないが)Sun Microsystemsと競合している。
HPでは、前四半期に利益の伸びを記録し売上予測を引き上げた。しかし、アナリストらは依然として慎重な構えを崩していない。
「HPはこの四半期は全社的に好調だった」とTechnology Business ResearchのアナリストHumberto Andradeは、以前に行われたインタビューのなかでそう語ったが、しかし「同社が、2期または3期連続で好調だったのを見たことがない」と付け加えてもいた。
Merrill LynchのアナリストSteve Milunovichは7日、HPを2社に分割するよう求め、プリンタ部門をコンピュータ部門から切り離すか、コンシューマーテクノロジー部門をハイエンドのエンタープライズ製品部門から切り離すべきだと主張した。
これに関して、Fiorinaは、HPが達成しようとしているものにアナリストらは注目すべきだと語った。HPは2004年末までに70億ドルの新たな収益を上げる、と同氏は説明。「われわれは自然に売上を伸ばしながら、(Dellの提携先であるストレージ企業)EMC並みの大きさの企業をひとつ作ったことになる」(Fiorina)。また、2002年のHPとCompaq Computerの野心的な合併については「全ての段階が完全だったとはいえないが、いまでは自信を持って、われわれは意図したとおりの位置にいると言うことができる」と述べた。
さらにFiorinaは、HPが新しい基盤の整備も完了したと付け加えた。「たいへんな部分はほとんど済んでいる。IT不況をなんとか乗り越え、87の個別商品ラインを統合し、非常に複雑な合併を実行した。こういった大変な仕事はすでに終わっているが、ただしわが社のビジネスを改善するためにするべきことがまだ残っている」(Fiorina)
HPの今後の課題は、新分野への拡大だ。同社が現在製品やサービスを提供している市場の規模は、あわせて7100億ドル程度だが、セキュリティやマネジメント、デジタルメディアなどの新分野へ事業を拡大すれば、潜在市場はさらに大きくなる。「われわれが参入可能な市場の規模は、最低でも1兆ドルになる」(Fiorina)
Fiorinaは、Milunovichの指摘には直接触れなかったが、同氏の考えが間違っているという自分の考えをそれとなくほのめかした。Fiorinaの見方では、IT企業は「水平的」に異なる分野を網羅する商品を提供するべきで、特定のニッチ商品に「垂直的」に集中すべきではないという。
例えば、ある企業が映画や音楽などのデジタルコンテンツを制作し、別の企業がそれをパッケージ化して販売し、さらに消費者がPCなどのデバイスを使って、そのコンテンツを見たり聞いたりするのを、HPなら全てサポートできる、と同氏は主張した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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