ライブドアとフジ、一転して和気あいあい…合意も具体的な戦略やビジョンはゼロ - (page 2)

別井貴志(編集部)2005年04月18日 22時30分

大はしゃぎの堀江氏、歓迎する北尾氏

 夕方に行われた記者会見では、これまでのいざこざが嘘のように和気あいあいとした雰囲気で行われた。 まずはじめに挨拶をしたフジテレビ会長の日枝久氏は「当初目的としていたニッポン放送の完全子会社化を優先して協議した結果、経営的には満足している」と述べ、「フジサンケイグループの経営資源の選択と集中を機動的かつ効率的に行える体制への転換が図れるようになった」と意気込んだ。

 しかし、1株あたり5950円だったTOBの価格よりも、今回金銭交付される価格が高いことに関して日枝氏は「適正な価格で当時とは取り巻く環境が異なっているため仕方がない。とはいえ、正直なところTOBに応募してくれたみなさんには内心じくじたるものがある」と力なく答えた。

 また、フジテレビ社長の村上光一氏は「本日、全社員総会を開き話をしたが、『これでやっと業務に邁進できる』などみんな前向きに聞いてくれたと受け止めている」と説明した。

 さらに、ニッポン放送の社長を務める亀渕昭信氏も「株主やリスナー、スポンサーなど関係各位に心配をかけたが、友好的に話し合ってもらった結果合意に達し、これで新しい出発ができる」と安堵の表情を浮かべた。

記者会見が行われた夕方以降に、ライブドアのサイトを訪れると、「きっかけは〜」と大はしゃぎでいる堀江氏の画像が表示され、その後トップページへリダイレクトされた。今回の合意も「想定の範囲内で、その範囲の中でもよい方だ」と堀江氏。

 この一方で、堀江氏は「そもそも誤解があったかもしれないが、2カ月前までは同局の番組に出演するなど、仲がよいと思われていた」と終始笑みをこぼした。「我々としても、当初から業務提携だけでは身が入らないので資本提携も併せた提携を望んできたので、3社で会見ができて本当にうれしく思っている」と述べ、「3社で力を結集して、お互いの価値を高め合っていきたい」と豊富を語ったが、詳細な戦略についてはほとんど語られることはなかった。

 このように、和解できたことをなによりもよろこぶ3社だが、この記者会見の舞台には登場しなかった重要人物がいた。それは、現在事実上のフジテレビの大株主であるソフトバンク・インベストメント(SBI)の代表取締役CEOである北尾吉孝氏だ。フジテレビとニッポン放送との共同出資により新たに設立するベンチャーキャピタルファンド「SBIビービー・メディア投資事業有限責任組合」(通称:SBIビービー・メディアファンド)について3月24日に説明会を開催し、フジとライブドア問題に「大人の解決策ある」と語っていた。ファンド設立にあたり、ニッポン放送が保有していたフジテレビ株は、株券消費貸借によって2010年4月1日まですべてSBIが借り受けることになり、フジテレビの筆頭株主にSBIが躍り出たのだ。

3社の合意について北尾氏は大歓迎している(写真は3月24日のファンド設立説明会)

 今回の3社の合意について北尾氏は以下の声明を発表して歓迎している。

 「ニッポン放送の経営権を巡るフジテレビとライブドアとの和解が非常に良い形で成立したことを心より歓迎すると共に、ここに至る両者の真摯な話し合いに敬意を表する。またこのたびの和解成立により、私が最も危惧していた事態、即ち被買収企業における防衛のための諸制度が不十分な中で今回のケースが敵対的買収の成功事例となり、それを追随するような企業が続々と現れるような事態が回避されたことを喜ばしく思っている」

 そして、肝心な借り受けているフジテレビ株については「和解成立後の新体制において、フジテレビおよびニッポン放送よりSBIビービー・メディアファンドの運営に対して全面的な支援が確約される状況になり次第、借り入れたフジテレビの全株式をニッポン放送へ返却する予定だ」としている。

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