シスコのプロケット買収は「異例」--本当の狙いと今後の可能性を探る - (page 2)

Marguerite Reardon (CNET News.com)2004年06月18日 12時12分

 最大のライバルであるJuniper製品と比較すると、Ciscoのコアルータ製品の品揃えは、CRS-1が発表されるまで古さを隠せないものだった。同社は2003年12月にGSR 12800を発表した。そして、このGSRファミリー製品の最新バージョンは、2004年の第1四半期に顧客への出荷が開始された。同製品は、それまでのGSR製品と比べて4倍のパフォーマンスを発揮するものの、ハードウェアやIOSソフトウェアなど、Ciscoのすべての旧技術が依然として利用されている。

 一部のアナリストは、CiscoがProcketの技術を使ってGSR製品ラインの改良に役立てるものと考えている。Ciscoは数年前から、通信キャリアの持つネットワークのエッジでコア部分に流れてくる低速トラフィックの集約に使えるよう、GSR 12000とGSR 12400を含むGSRの各バージョンに新しいソフトウェア機能を追加してきている。

 アナリストのなかには、CiscoがProcketのソフトウェアと洗練されたチップデザインを利用して、GSRシリーズを改良する可能性があると考える者もいる。Procketは当初から、すべてのルータ製品に同じチップセットやソフトウェア技術を搭載するという戦略を採っており、低速なトラフィックを集めるのに利用する小型のエッジルータから、インターネット上を行き来する大量のトラフィック処理に用いられる超ハイエンドルータまで、同一のコンポーネントを使おうとしていた。

 だが、Volpiによると、Procketのチップセットは異なるアーキテクチャに基づいてつくられていることから、Ciscoにとっては役に立たないものだという。Procketが共有メモリアーキテクチャを用いる一方で、CiscoのGSRやCRSといったルータ製品は一元化したスイッチファブリックアーキテクチャをベースにつくられたものだからだ。同氏は、Procketのソフトウェアについても、CRS-1以外にはどのルータ製品にも適していないと述べている。

 CRS-1の最初のバージョンでは、Procketのいなかる技術も用いられないとVolpiは語ったが、それでも将来リリースされる製品に採用される可能性はある。一部には、Procketの技術がCRS-1のスケールダウンバージョンの構築に用いられるという見方もある。Juniperは、同社のTシリーズでこの戦略を採り、T-320という製品を開発した。スケーラビリティの高いコアルータを製造するAvici Systemsもまた、同社製品の小型版を投入している。

 「CRSは現状のままでも十分に素晴らしい」とCIBC World MarketsのアナリストStephen Kammanは述べている。「だが、このプラットフォームはスケールダウンしづらく、さらに小型の製品をつくるのには向いていない。Ciscoが大量販売を見込めるのはこの分野なのだが」(Kamman)

  Ciscoは、Procketの技術をすぐには必要としていないと主張しているが、この話がもし本当なら、同社はエンジニア1人につき約68万5000ドルも無駄遣いすることになる。一般に、企業買収の成功度合いを測る物差しは、合併後の企業がどれだけよくまとまっているかだと言われている。Volpiは詳細を明らかにしなかったものの、Procketのエンジニアが結ぶ有効期限を定めない契約のなかには「Noncompete Clause」と呼ばれる転職対策のための慰留規定が含まれており、彼らには現金とCisco株からなる特別残留手当てが支給されることになるという。

 Procket CEOのRoland Acraは、このポストに就くためにわずか6カ月前にCiscoを離れた人物だ。同氏は、Ciscoによる買収が多くのProcket従業員にとっては好ましいものだと述べている。

 「わが社が倒産していたら、本当に悲惨な結末となっていただろう。いまベンチャーキャピタルの間では、コアルータを製造する新興企業に投資したいという意欲はない。そして、少なくとも向こう10年間は新しいメーカーなど登場しないだろう。その点、CiscoにはProcketとよく似た企業文化もあり、また技術開発に情熱を燃やす従業員に対して、その力を発揮できる場所も与えてくれる」(Acra)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]