ラスベガス発--新しい「Windows Phone」には、従来版の「Windows Mobile」になかったものが多く追加されている。中でも注目すべきなのは、クールさの要素だ。
しかし、(少なくとも2010年に発売される)「Windows Phone 7 Series」搭載デバイスに含まれない機能が1つある。それは、広範にわたってアイテムをコピー&ペーストする機能だ。Engadgetが既に報じているように、Microsoftは米国時間3月16日、開発者はユーザーにコピー&ペースト機能を提供するクリップボードへのアクセスを期待すべきではないということを認めた。Microsoft自身の「Office」アプリケーションにもコピー&ペースト機能は搭載されないという。筆者が記憶している限り、過去のWindows Mobileバージョンには必ず同機能が搭載されていたにもかかわらずだ。
「われわれはコピー&ペーストを提供していない。極めて意図的にそうしているのだ」とWindows Phone担当幹部であるTodd Brix氏はインタビューで述べた。
ユーザーが携帯電話上で何かをコピーするとき、彼らが本当にしたいのは、電話番号に電話をかけたり、住所を電子メールで送信したりといった特定のタスクの実行である、とBrix氏は何度も話したこうした特定のタスクについて、Microsoftは同社が「スマートリンキング」と呼ぶ機能を用意している。これは、ユーザーが電話番号をダブルクリックした後、その番号に電話をかけたり、それを電話帳に追加したりできる機能だ。住所の場合、ユーザーは住所をコピー&ペーストすることなく、地図を入手できる。
「実際のところ、これは設計面での意図的な決定だ」とBrix氏は話す。「われわれは、ユーザーが求めていることを予測して、コピー&ペーストの必要性をなくすことを目指している」(Brix氏)
しかし、特に「Word」などのモバイル向けOfficeアプリケーションが搭載されるデバイスにとって、インテリジェントリンクのコンセプトは十分でないように思える。例えば、BlackBerryはインテリジェントリンクとコピー&ペーストシステムの両方を提供している。筆者には、これが理想的であるように思える。
Brix氏は、大半のユーザーはコピー&ペーストがなくても不便だと思わないだろうと主張しており、これはどこに注力するかという問題である、と述べた。Microsoftによると、同社は80%のユーザーが欲しているタスクを申し分なくこなしたいと考えているという。
「われわれは、主要な使用事例に注力することを目指した」とBrix氏は述べた。「当然、こうした決定の一部に不満を持つユーザーも出てくるだろう」(Brix氏)
これがどこかで聞いた話のように思えるのは、同様の制限が発売当初の「iPhone」の妨げになったからだ。Appleはその後、考えを変え、コピー&ペーストを追加した。
筆者の同僚であるJessica Dolcourt記者が先ごろ述べたように、ユーザーはコピー&ペーストを欲していないのではない。何者かがコピー&ペーストを省くという大胆な決定を下すまで、われわれはそれを当然あるべき機能として受け止めていただけなのだ。
Windows Phone 7 SeriesがiPodから非常に多くのヒントを得ていることを考えると、Microsoftがこの教訓を学んでいないことに筆者は驚いている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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