ディー・エヌ・エー(DeNA)は2月1日、2010年3月期第3四半期の連結決算を発表した。モバゲータウンで2009年10月より開始したソーシャルゲームが好調で、四半期として売上高、営業利益ともに過去最高を記録している。
売上高は前年同期比24%増の116億5500万円、営業利益は同32%増の52億2400万円、純利益は同34%増の29億8500万円となった。モバゲータウンで展開しているソーシャルゲームのアイテム課金の売り上げが好調で、内製ゲームのため利益率が高いことが奏功した。
モバゲータウンの同四半期における売上高は前年同期比46.4%増の68億6600万円。うち52%をゲーム関連の売上が占めている。「モバゲータウンの売上高やページビュー(PV)は過去1年ほど横ばい、もしくは減少していた。とくにアバター(アイテムの売り上げ)の減少が大きかったが、新しい成長エンジンをつかんだという力強い感触を得ている」とDeNA代表取締役社長の南場智子氏は自信を見せる。
「これまでの(モバゲータウンの運営という)プラットフォームに加えて、ソーシャルゲームを1つの事業として育てていく」(南場氏)とし、新たな収益源として育てていく考えを示した。
なお、ゲーム関連売り上げの中には同社が開発したソーシャルゲームの売り上げのほか、mixiアプリで展開している「怪盗ロワイヤル」「ホシツク」の広告収入やアイテム販売収入も一部含まれる。ただ、いずれも12月から始めたこともあり、全体に占める割合はごくわずかとのことで、ほとんどがモバゲータウン内での売り上げであるとした。
モバゲータウンの会員数は2009年12月末で1581万人、月間PVは380億6700万PVに達している。「2〜3カ月でPVが2倍以上という、とんでもないことになっている。当社のインフラ部分の強みがいかんなく発揮できた」(南場氏)
DeNAは内製ゲームの展開で得たノウハウをゲーム会社に提供することで、「モバイルNo.1ソーシャルエンターテインメントプラットフォームを目指す」(南場氏)としている。
ゲームが好調な一方で、アバターアイテムの販売やアフィリエイト広告の売り上げは落ち込んだ。2Dアバターの需要が落ち込んでいることが主な要因で、「アバターとゲームの連動が『セトルリン』以外でできていない」と南場氏は課題を挙げた。2010年1月27日にはモバゲータウンのゲームAPIを利用したゲームが40社から92タイトル公開されている。4月をめどにゲームとアバターを連携できるような仕組みを開発者に公開する方針で、これによりアバターの需要を再喚起する方針だ。
「アバターは利益率の高い重要な存在。ゲームを組み合わせるなどして、あきらめずに取り組みたい」(南場氏)
アフィリエイト広告事業「ポケットアフィリエイト」の売り上げも下がっている。第3四半期の売上高は前年同期比35.7%減の14億7800万円まで落ち込んだ。要因としてDeNAでは不正対策のための媒体審査や監視体制の強化などを挙げる。「不正対策は業界で力を合わせて乗り越えないといけない課題。広告主の信頼回復に時間がかかっているが、完全に健全化する以外に道はない」とし、2009年12月24日に設立したモバイルアフィリエイト協議会で他社と共に取り組んでいくとした。
海外事業については、中国のモバイルSNS「天下網」において、12月に怪盗ロワイヤルのベータ版を開始したという。Flashゲームも導入しており、「日本のモバゲータウンに近い形に展開できるように準備している」(DeNA常務取締役の春田真氏)と話した。
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