シンビアンは11月20日、6月に設立された非営利団体「Symbian Foundation」の記者説明会を開催し、今後の方針について説明した。
Symbian Foundationは、Symbian OSベースの携帯電話向けソフトウェアプラットフォームを推進することを目的に、NTTドコモ、Sony Ericsson、Motorolaなど10社が設立した団体。これまでに参加を表明していた企業は52社にのぼるが、今回新たにソフトバンクモバイル、ルネサステクノロジの日本企業2社を含む7社がメンバーとして加わったことを明らかにした。
記者説明会に出席したシンビアン日本法人 代表取締役社長の久靖彦氏によると、日本におけるSymbian OS搭載端末の累計出荷台数は4000万台を突破。2003年に日本で最初のSymbian OS搭載携帯電話が出荷されて以降、現在までに94機種の端末が販売されているという。同日に発売されたNTTドコモの新端末「docomo PRIME series SH-01A」「docomo PRIME series F-01A」の2製品にもSymbian OSが搭載されており、「現在開発中の機種も含めて、来年の早い時期にはSymbian OS搭載端末が100機種を超えるだろう」と久氏は話した。
Symbian Foundationのエグゼクティブ・ディレクターに10月に就任したばかりのリー・ウィリアムズ氏は、「日本は世界でもっともモバイルが進んだ国。携帯電話の性能と品質を重視している日本の消費者のニーズを満たすことができれば、世界中に通用する」と語り、Symbianにとって日本が重要な市場であることを強調した。具体的なスケジュールについては、「2009年前半にライセンス料を無料にする。さらに、2010年以降はオープンソース化し、パブリックライセンスにする」と明かした。
「プラットフォームの共通化により、端末ベンダーはソフトウェアの上位部の開発に集中できる」と、ウィリアムズ氏はSymbian Foundationの意義を語る。Googleが開発するAndroid OS搭載端末が日本でも発売されると見られているが、「競争するというのはよいことだが、両者は提供できるものが違う。Symbianは既に実績がある成熟したOS。AndroidはまだそういうOSとは言えないと思う」と話した。
現在、Symbian OSには「S60」「UIQ」「MOAP(S)」の3種類があり、それぞれが独立したプラットフォームとして使われている。Symbian Foundationでは、これらの共通化を図る考えだ。これまでミドルウェアとしてMOAP(S)を採用してきたNTTドコモの移動機開発部部長で常務理事を務める三木俊雄氏は「グローバルでオープンなプラットフォームを使うことは、海外の主要オペレーターの間でのトレンドになっている」と話し、同社のSymbian OS搭載端末では、今後「オペレータパック」と呼ばれるソフトウェア群を使って開発コストを下げる考えを示した。
「ソフトウェアの共通化は端末価格を低減するだけでなく、国内端末メーカーの海外進出や、海外メーカーのドコモへの参入を可能にする。エンドユーザーにとっては、魅力ある端末がより早く手元に届くようになる」と三木氏は新たな取り組みのメリットを強調していた。
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