ディー・エヌ・エーは7月28日、2009年3月期第1四半期(4〜6月)の連結決算を発表した。モバイルサイト「モバゲータウン」の売上高が初めて減少に転じ、アバターを活用したビジネスモデルが壁にぶつかっている。
モバゲータウンの同四半期の売上高は49億4200万円と、前年同期に比べて97.1%増となった。ただし、前四半期となる2008年3月期第4四半期からは4.3%減少しており、モバゲータウンのビジネスが新たな局面を迎えていると言えそうだ。
売り上げが減少した大きな要因は、成果報酬型広告の売り上げが減ったことにある。モバゲータウンはアバターと呼ばれるユーザーの分身をサービスの鍵にしており、このアバターの洋服などを購入するのに「モバゴールド」という仮想通貨を提供している。ユーザーは成果報酬型の広告をクリックしたり、そこから広告主のサイトに登録したりすることでモバゴールドを受け取っている。
ディー・エヌ・エー代表取締役社長の南場智子氏によると、「アバターの新規性が薄れたことでアバター自体のニーズが下がったこと、モバゴールドを直接(現金で)購入するユーザーが増えたこと、さらに10代を中心とした若年層の活動レベルが低下したことが主な原因」という。つまり、これまで積極的に広告をクリックしてモバゴールドを集めていた層の動きが鈍ってきたということだ。
会員数は6月末時点で1078万人と伸び続けているが、第1四半期にテレビCMを放映しなかったことで、会員数の伸びも以前に比べると小さくなっている。「これまで『無料ゲームはモバゲー』というコンセプトでテレビCMを流してきたが、総合ポータルサイトという位置付けを打ち出すために、(2008年3月期)第4四半期に『モバイル検索ならモバゲー』と見せ方を変えたところ、新規顧客獲得の費用対効果が悪かった。広告を再考するために、第1四半期はテレビCMの放映をとりやめた」(南場氏)。ただし第2四半期からは再びテレビCMを中心とした大規模な広告宣伝活動をする考えで、20代以上の新規顧客獲得を目指す方針だ。
なお、ディー・エヌ・エーは7月22日、モバゲータウンに関して、電通系の広告代理店であるディーツーコミュニケーションズならびにサイバー・コミュニケーションズと包括的な代理店契約を結んでいる。「ミニマムコミットメント(最低達成額)を約束してもらっており、それ以上の額になればお互いにメリットがある契約になっている」(南場氏)とのこと。3社は共同で、ナショナルクライアントの開拓を進める方針だ。
第1四半期におけるディー・エヌ・エー全体の売上高は90億900万円。前年同期に比べると61%増となるが、前四半期よりは4%少ない。営業利益は42億7000万円で前年同期比109%増、前四半期7%増。当期純利益も23億9500万円で前年同期比134%増、前四半期5%増と好調だ。
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