画像認識技術で新たな広告市場を切り開く――ジェイマジック宮田社長に聞く

 優れたベンチャー企業を選出する「Tech Venture 2008」を受賞したジェイマジックは、自分の顔が芸能人の誰に似ているかを教える「顔ちぇき!〜誰に似てる?〜」で一躍有名になった企業だ。ただ、同社は元々画像認識技術を活用したサービスを展開する企業であり、携帯電話とインターネット、そして画像認識を生かしてより大きなビジネスを進めている。同社代表取締役の宮田拓弥氏に、ビジネスモデルや今後の展開について話を聞いた。

――ジェイマジックについて教えて下さい。

 今でこそ顔ちぇき!で知られるようになりましたが、元々モバイルコンテンツを作ろうと思って会社を設立したわけではありません。

 カメラが携帯電話に搭載され、さらにインターネットに接続できるようになったことで、これまで「いかに綺麗な写真を撮るか」が求められていたカメラの本質が大きく変わりました。そうした携帯電話の進化に対して、私自身がそれまで取り組んでいた画像認識技術を使って何かできないかと考えたのが始まりです。過去にも某社で携帯電話の顔認証プロジェクトなどに携わったことはあるのですが、よりコンシューマーに向けたサービスを展開したいと考えました。画像認識技術を用いた、画像による検索を実現するためのプラットフォームを広く提供するべく、現在の会社を設立したのです。

 そうした中で作成したプラットフォームの1つとして、3月22日にリリースした「Adphoto」があります。2008年はこちらに力を入れていく予定です。

――Adphotoとはどのようなものでしょうか?

 Adphotoは、サイトに表示された画像がどのような画像であるかを判断し、その画像に関連した広告を表示するという、画像連動型の広告配信プラットフォームです。犬の写真であればペットの広告、洋服の写真であればファッションの広告といったように、コンテンツ連動型の広告を画像で実現しています。

 画像内の特徴点、含まれている色の要素、構図などを元に、それぞれどのような画像であるかを判断しています。このため、たとえば「『青い空』に対してスポーツ飲料の広告を掲載する」というような指定も可能です。

 実は2007年の7月に「SAYL(Search As You Like)」という画像検索プラットフォームを開発したのですが、多様な画像検索を実現するには、検索対象としての画像データベースが必要であり、それを制作、更新する手間が非常にかかってしまうこともあって、サービス化が難しかったのです。自社で膨大なデータベースを作らずとも何かできないかと考えて注目したのが、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などの普及により、モバイルインターネット上で画像の数が非常に増えているという事実でした。ネット上に存在する多数の画像にSAYLを使って何らかの付加価値を与えられないかと考えたのです。

 その際、生かされたのが顔ちぇき!の発想です。SAYLでは、人の顔であれば100万人の顔のあるデータベースの中から「その人」を探します。しかし、顔ちぇき!の発想はそれよりある意味でいい加減で、「その人」の顔写真が顔ちぇき!のデータベース内にあるわけではなく、データベースの中にある人の中から近い顔の人を3つ探します。検索クエリと一致するものをデータベースの中から探すわけではなく、データベースの中にある写真から似ているものを出す。しかし、それだけでも意味が出てくる。Adphotoは、こうした発想を元に作られました。

 現在は、広告代理店の広告配信サーバなどにAdphotoのエンジンを組み込む形で提供しています。しかし最終的には、広告主がウェブサイト経由で簡単にカテゴリなどを指定するだけでAdphotoを使って広告配信をできるような形も目指したいですね。「顔ちぇき!」も引き続き拡大しているので、うまく連動しながらやっていきたいですね。

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