モバイルの世界で近年盛り上がりを見せているのが、広告を主体とした一般サイトだ。携帯電話キャリアが公認した「公式サイト」に対し、キャリアの規定の制限なくさまざまなサービスを自由に提供できる点に特徴がある。そして、そうした一般サイトのビジネスを支えるソリューションを提供しているのが、優れたベンチャーを選出する「Tech Venture 2008」において、10社のうちの1社に選ばれたエンターモーションである。同社代表取締役である島田大介氏に、そのビジネスモデルと特徴、今後の展望などについて聞いた。
当社は一言でいうと、モバイルプラットフォーム上でさまざまなビジネスを展開する会社ということになります。現在は、ツタヤオンラインと共同で展開しているソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「TSUTAYAコミュ!」をはじめとしたモバイル広告メディア事業、公式コンテンツを提供するモバイルコンテンツ事業、モバイル広告代理店事業、ソリューション事業の4つのビジネスを展開しています。中でも事業の中心となっているのはソリューション事業で、モバイル媒体を簡単に構築できる低コストのASPサービス「Media Magic2.0」が主力商品となります。
Media Magic 2.0の大きな特徴は、モバイル媒体を立ち上げるのに必要な機能が豊富に用意されているということです。コンテンツマネジメントシステム(CMS)によって簡単にページ作成ができるのはもちろんのこと、高速メール配信や会員管理、ポイント管理といった、モバイル広告媒体として必須となる機能を用意しています。
加えて、着メロやデコメール、Flashゲーム、アバターといった携帯電話向けのデジタル素材も多数揃えており、顧客企業に提供しています。コンテンツを自力で揃えるのは非常にコストがかかりますが、Media Magic2.0を利用すればそうした手間やコストを省けるようになります。
こうした機能やコンテンツを、月1件くらいのペースで次々と増やしているというのが当社の大きな強みとなっています。モバイルの世界は変化が非常に速く、拡張性が要求されるような企画も少なくありません。Media Magic2.0はそれぞれの機能をモジュール化して用意していますので、組み合わせ次第でそういったモバイル媒体でも柔軟に対応できるようになっています。
現在85の媒体に採用されており、全体でおよそ250万の会員を預かっています。携帯電話の世界では一般サイトのトラフィックが大きく伸びていますが、公式サイトと一般サイトとではビジネススタイルが大きく異なります。そのため、これまで公式コンテンツを提供していた企業が、一般サイトの媒体を提供したいという時に利用されることが多いです。
また、弊社はモバイルサイトのキャンペーンサイトを構築するためのASP「Campaign Magic」も提供していまして、こちらは映画、音楽業界をはじめとしたナショナルクライアントに多く利用されています。
現状の予定のまま進展した場合、短期的に見ると18歳未満対象の媒体のニーズが減り、厳しくなることが予想されます。しかし逆にモバイルサイト利用者が可処分所得の多い層のみになることで、ナショナルクライアントの宣伝費がモバイルに流れてくる可能性も高いと考えています。フィルタリング問題も逆にチャンスと捉え、媒体の質を変えて大人向けに展開していけばよいのではないでしょうか。
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